観戦中は簡単そうに見えたセントアンドリュース。しかし……。
こんにちは、小澤美奈瀬です。今回の全英オープンの舞台となったセントアンドリュース・オールドコースを、なんと本戦と同じピンポジションでラウンドできるという機会に恵まれましたので、みなさんに私なりの目線でリポートしたいと思います!
じつは私、ラウンドする前の印象だと「結構このコース簡単そう」って思っちゃってたんですよ。
ラフは長くても膝下くらいまでの場所が多くて、木もそれほど高さがなかったですし、ティーショットはOBもほとんどなく広く狙えるし、グリーンもそこまで硬くなかったので、ポットバンカーさえ気をつければ結構イケそうって(笑)。
全英オープンは2日日と最終日を観戦できたんですが、観戦に熱中しているうちに、プレーしているのがトッププロだというのをすっかり忘れてしまっていたのも、簡単に見えてしまった原因の一つかもしれません。
私は7月20日、全英オープンのあとにプレーしたんですが、その勘違いの代償をすぐにスタートホールで受けることになりました。
スタートホールとなった第1ホール・パー4。ティーショットがフェアウェイのいい位置にいき、続いてセカンドショット。ピンまで88ヤード、グリーンは縦に長くて手前に川が流れています。ピンポジは川から4ヤードと厳しい位置ですが、グリーンオンしてバーディチャンスにつけるにはそれほど難しさを感じないショットでした。
ここで私は52度でピンまっすぐ、ピンの奥を狙っていったんですが、これが川に入ってしまったんです!
ご存知の方も多いかもしれないですが、とにかくこのコース、フェアウェイが硬いんです。グリーンよりもフェアウェイのほうが硬いくらいなんですね。この硬さがショットにどういう影響を与えるかと言いますと、とにかくショットに「高さの出るイメージ」がでないんです。
日本のコースだと多少芝の長さもありますし、球が浮くイメージをもてるんですが、芝もほぼ長さがなくカチカチのこのコースだと、強いダウンブローで打っていかないとキャリーが出ないイメージなんですよ。その結果、力が入りやすくなって、クラブがカット軌道気味に入りやすくなってしまい、スライス回転が強くなってしまうなどのミスが出やすくなってしまうんです。
このフェアウェイの硬さには終始悩まされました。
ですが、なんといっても私がいちばんキツい洗礼を受けたのは“ティーショットのホテル越え”と“トミーズバンカー”で有名な、あの17番ホールでした。
まずこのホール、ティーショットでこの日初めての深いラフに入れてしまいます。ホテルの左上くらいを狙うくらいのイメージで本来はフェアウェイに乗せることができるのでしょうが、実際に見るとやっぱりホテルのプレッシャーが強い!
悲しくもプレッシャーに負けて左サイドのラフに突っ込んでしまいました。分かっていてもコースの意図にハマってしまうのが、やっぱり怖いところです。
その後、ラフからの2打目をミスし、迎えたピンまで110ヤードの3打目を、なんとトミーズバンカーに入れてしまいます。体験できるのがちょっと嬉しいやら、やっぱり悲しいやら。
トミーズバンカーだけじゃなく、このコースのポットバンカーってとにかく垂直なんですよ!他の全英の舞台となったコースもいくつか回ったんですが、セントアンドリュース・オールドコースのポットバンカーの角度は圧倒的でした。
その後、トミーズバンカーからの第1打、第2打はミスショットとなり、迎えた第3打。たまらずキャディを見ると、バンカーの後ろを指差しながら一言「こっちに出せ」とのことでした(笑)
バンカーからの3打目で後ろに出し、どうにか迎えた15ヤードほどのアプローチでしたが、今度はグリーンをオーバーし、奥のカート道に。……そうです。今年の全英オープンの初日に松山英樹選手が打った位置と同じところ!ここはローカルルールで救済はないのでこのまま打たなくてはいけません。
一応ここでもキャディに目線を送ると、ウェッジの歯を指さしながら「美奈瀬、ここで打て」とひとこと。どうやら一般プレーヤーでもルールは変わらないようでした。
ここでのショットもうまくいかず、結果このホールだけでなんと7オーバー!呆然です(笑)。
セントアンドリュースでプレーしてみて全体的に感じたのは、ほとんどのホールのティーショットをどこに打ったらいいのか分からない、というところです。
ティーイングエリアが低い位置にあるうえに、ターゲットとなる目標物がまったくないんです。私がラウンドしたときは、まだ全英オープンの名残で特設されたものがいくつかあり、それを目安にできましたが、この特設物もなくなったら何もターゲットにできないホールがほとんどでした。
実際に観戦するのとプレーするのでは、ここまでイメージが変わるものかと衝撃を受けましたが、これがゴルフの聖地の奥深さなんだという感動もありました。
次回も全英オープンの舞台となったコースのラウンドの模様をみなさんにお届けしますので、楽しみにしていてくださいね!