トップ5に入った選手で今季の優勝者は上田桃子だけ。西郷真央、山下美夢有、西村優菜と今季複数回優勝を果たしている3人が海外メジャー参戦で不在ということもあり、今大会はいつもと違う顔ぶれでの優勝争いとなった。そんななか、最終日に圧巻のプレーを見せたのが横峯だった。9位からスタートすると、前半だけで5バーディの猛チャージ。8年ぶりの優勝にあと一歩まで迫った。2週前まで7試合連続予選落ちを喫していただけに、驚きの復活劇。横峯は復調の要因として左に向き過ぎていたアドレスを「スクエアよりちょっと左」に修正したことを挙げた。
改めて今季のスタッツを見てみると、ドライビングディスタンス19位(244.17ヤード)と若手に負けない飛距離に驚かされる。若手時代は確かに豪快なオーバースウィングからの飛ばし屋だったが、米女子ツアーに参戦した30歳のころにはかなり飛距離が落ちてきていた。さらに昨年2月には出産も経験。年齢を重ねるなかで、飛距離を取り戻しているのはトレーニングやスウィングの研究といった努力の賜物だろう。これだけの情熱があれば、復活Vも決して遠くはないだろう。
もう一人、2位に食い込んだ櫻井は昨年11月のプロテストに合格したばかりの18歳だ。下部のステップアップツアーでは1勝を挙げ、賞金ランク首位を走っているものの、レギュラーツアーはまだ2試合目。最後は決めればプレーオフという2メートルのバーディーパットを決められなかったが、初の予選通過で堂々の優勝争いを演じた。初めての最終日最終組、しかも序盤の2番でダブルボギーを叩くという状況から巻き返すメンタルの強さは印象的。試合で力を出せるプロ向きの性格なのだろう。
これにより暫定リランキングは43位に急浮上。また、直近の試合の3位以内という資格で次戦の「NEC軽井沢72トーナメント」に出場できる。再び上位争いを演じれば、2回目のリランキング後の10月以降の出場権を得ることも考えられる。ステップアップツアーで賞金ランキング2位以内に入って、来季のレギュラーツアー前半戦の出場権獲得が本来のシナリオだったはずだが、今季中にニューヒロインに名乗りを上げる可能性も出てきたというわけだ。
海外メジャーに参戦した上位組は次戦も不在。横峯、櫻井の活躍はもちろんだが、層の厚い女子ツアーだけにさらなる後半戦の主役候補の出現にも期待したい。