グリーン周りまでは2打で来たのに、アプローチでザックリ、トップのミスをやらかして、寄せワンどころかイタい素ダボ……。せっかくショットがよくても、ショートゲームでしくじったらスコアにつながらないし、調子がよかったショットまでリズムを崩す、という負のスパイラルに陥ってしまう。
しかもグリーン周りは、球が沈む深いラフ、踏みつけられた逆目のラフ、濡れ芝、ベアグラウンド、ガードバンカー、傾斜地などリスキーなライが多く、やさしそうに見える花道もひと筋縄ではいかない。ただでさえ繊細さが求められるのに、シビアなライが待ち受けるショートレンジは、そもそもミスが出やすい状況なのだ。
そういうアプローチが苦手な人だけでなく、ゴルフ経験がまだ浅くて腕に自信がない人も含めて「グリーン周りのミスをなんとかして減らしたい」と願うゴルファーの“超・お助けクラブ”が「チッパー」だ。
チッパーがナゼやさしいかというと、ソール幅がかなり広くて滑るのでアバウトに入ってもボールにコンタクトできる、ランニングやピッチ&ランの球が打ちやすくて大ミスにならない、振り幅がコンパクトでいいのでミートしやすいしストレートな軌道でシンプルに(パター感覚で)打ちやすい、といった点が挙げられる。
実際にチッパーの多くは、パターのようにクラブが短くてライ角がアップライトなので「ボールに近づいてスタンスを狭くする」という“小さい構え”“飛ばさないアドレス”が自ずとできる。チッパーを使って短い距離に適したアドレスを身につけることで、ウェッジを使ったアプローチの技術向上につながる、という利点もあるのだ。
現在、有名どころのチッパーというと(「チッパー」とは銘打っていないモデルもあるが)、オデッセイの「X-ACT(エグザクト)」、クリーブランドの「スマートソール4」、プロギアの「R35」「R45」「R55」、キャスコの「ドルフィン」といったシリーズがあるし、大手メーカーだけではなく、アドラージャパンの「THINK CHIP WEDGE」やヤードスティックの「コロぴたっ」というモデルも人気がある。
チッパーの歴史は1970年代にスタートして、同社の創業者であるカーステン・ソルハイム氏が発明。当初は「CHIPO(チッポ)」というモデル名で発売されて、2000年代までのロングセラーとなったという。誕生してから半世紀がたった今も「チッパー」というクラブが残っているということは、ゴルファーに必要とされてきた証しでもあるし、ポピュラーではないまでも根強いファンがいるといって過言ではない。
チッパーを世に送り出したピンが、この7月にリリースした新作が“ランニングウェッジ”こと「Chip R」だ。これまで、本音ではチッパーというクラブを使いたいけれど、異質なカタチをしていて恥ずかしいからバッグに入れられなかった、という人も少なくないだろう。でも、この「Chip R」はスマートなデザインで、キャディバッグに挿さっていても違和感がない。このモデルでチッパーの存在感や知名度がさらに高まれば、ショートゲームに悩みを抱えるゴルファーが堂々と使える日がやってくるのかも!?