優勝した岩井は今季のドライビングディスタンス16位。勝みなみ、原英莉花、葭葉ルミは同部門のトップ5、竹田麗央も既定のラウンド数に満たないため、ランク外ながら2位相当の平均飛距離をマークしており、上位6人は山下を除いて飛ばし屋が揃った大会だった。そんななか勝負を分けたのがパッティング。平均パット数(パーオンホール)8位の岩井千は次々にロングパットを沈めた2日目に続き、最終日も抜群の距離感を見せ、長い距離のバーディーパットを残してもストレスのないパーを重ねていった。平均パット数2位とシーズンを通しては岩井を上回るパッティング巧者の勝だが、この試合については脱帽だろう。
岩井千のルーキーシーズンはQTランキング90位と出場試合が限られるなかでスタート。リランキングにより、安定して試合に出られる立場を築いてからは11位、10位、9位、優勝、優勝と驚異的な成績を残している。今後も優勝争いに度々、顔を出してくるのは間違いない。
またまたニューヒロインが生まれた女子ツアーだが、いっぽうで気がかりなのは最近の試合で欠場者が相次いでいること。今大会ではⅡじつに12人が欠場となった。新型コロナウイルスの感染拡大という現在の特殊事情も含め、個別に見れば、やむを得ないものだろうが、出場人数の1割以上が欠場するのはやはり多い。ウエイティングの選手が入ってもなお初日のスタート時点でペアリングに空きがあるのは残念な状態だ。
今季の女子ツアーは3月の開幕から11月まで1週しか空きがなく、夏場は特に体力的にきついだろう。そんななか、出られる限り、休まずに出続けるというのが必ずしもベストではないはず。シードやリランキングがかかるなか、選手の立場になれば、そんなことは言っていられないかもしれないが、直前での欠場に至る前に、適度に休みを入れ、シーズンを通してコンディションを維持したほうが最終的には成績も出るように思えてならない。時にはエントリーしない勇気も必要ではないだろうか?
JLPGAにも考える余地はあるはずだ。今夏のツアーは北海道と本州を何度も行き来するスケジュールで選手にとっては移動の負担も多く、気温など、環境の変化も激しかった。各主催者、スポンサーは開催週、開催地にそれぞれこだわりがあり、調整は難しいだろうが、日程を組むうえで選手の負担軽減という視点があってもいい。選手と協会、場合によってはその他の関係者が少しずつでも工夫して、各大会の開幕時には出場枠が埋まっていることを願いたい。