「ニトリレディストーナメント」で今季2勝目を連覇で飾った稲見萌寧。昨季までの強さを取り戻した稲見萌寧のスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

稲見萌寧選手が崩れないゴルフで連覇を飾りました。ドライバー、アイアン、アプローチそしてパッティングが噛み合い、風の吹いた終盤でもスコアを崩すことなく今季2勝目を手にしました。

さかのぼること6月の「リシャール・ミル ヨネックスレディス」の開催週にパッティングコーチである橋本真和コーチのもとでチェックを受けたこと。そのときの様子を「ストロークのどこにも悪いデータは見つかりませんでしたが、エイミングだけがズレていました」と橋本コーチ。

画像: パッティングコーチの橋本真和(左)と稲見萌寧(右)(写真は2022年のCATレディス 写真/KJR)

パッティングコーチの橋本真和(左)と稲見萌寧(右)(写真は2022年のCATレディス 写真/KJR)

エイミングとは、アドレスしたときのフェースの向きや打ち出したい方向への構え方のことを言いますが、稲見選手はショットと同様に軌道やフェースアングルのズレは驚くほど少なく、向いた方向に打ち出してしまうため正しい方向に向けて構えることが重要でした。そこでレーザーで方向性を確認する器具を渡し正しく構えられるように指導しると、その週にいきなり優勝を挙げそれまで悪かったパッティングのスタッツが改善していきました。

先週の「CATレディス」では橋本コーチがキャディを務めてた3日目に、3パットを4回し優勝を逃しましたが、その理由を「パターのインサートが削れてしまい方向性が悪くなっていました」と橋本コーチ。膨大なパッティングの練習量に加え、つねに同じ位置で正確にボールを打打っていたためにパターのインサートが削れてしまい意図しない転がりをしていたようです。今大会では数十本試した中から選んだ同じモデルのパターを投入しさっそく成果を出しました。

スウィングを見てみると、フェードヒッターらしくターゲットの左に振り抜くスウィングプレーンの整ったスウィングが特徴ですが、ここではインパクト前後の右ひじに注目してみます。

画像Aの右ひじがインパクト後にも余裕があることが見てわかります。これは、スウィングのタイプをヒッターとスウィンガーの二つに分類するとしたら、右ひじの曲げ伸ばしを使い、押すように打つ「ヒッター」ではなく、クラブを引っ張るようにして打つ「スウィンガー」の特徴に当てはまります。とくに左サイドの体の回転を止めずにフィニッシュに向けて素早く回転させるようにしながらボールを打つことで体幹主導のスウィングで再現性を高めています。「スウィンガー」でも「ヒッター」でもどちら不正解ということではなく、求められるショットによって打ち分けるプロも存在しますので、自分にマッチした感覚を取り入れ磨くことが重要です。

画像: 画像A 右ひじにゆとりを持たせたままインパクトを迎えるのスウィンガー的特徴を持つ稲見萌寧(写真/KJR)

画像A 右ひじにゆとりを持たせたままインパクトを迎えるのスウィンガー的特徴を持つ稲見萌寧(写真/KJR)

そして最後の伏線は、岩井千怜選手の2週連続優勝や山下美夢有選手、西郷真央選手らの活躍によっていよいよスイッチが入ったようです。現在売り出し中のスウィングコーチとパッティングコーチと昨年から続くトレーナーを味方につけチーム稲見の体制は整いました。ツアーチャンピオンシップまで含めると残る13試合でどれだけの勝利を挙げるのか。1位山下美夢有、2位西郷真央、3位稲見萌寧というメルセデス・ポイントランクからも目が離せなくなりそうです。

This article is a sponsored article by
''.