各メーカーのアイアンのラインナップを見ると、PWまでのセットもあれば、AWやSWに当たる“セットウェッジ”(単品売りが多い)が入るセットもある。両タイプのモデル数の内訳は、ほぼ半々のメーカー、PW(相当)までのセットがやや多いメーカー、PW(相当)までのセットしかないメーカーなど、さまざまだ。
基本的に、グリーン周りで繊細なワザを使うアスリート系のゴルファーはこだわりの“単品ウェッジ”を使うケースがほとんどだし、アプローチもシンプルに打ちたい人やウェッジにそこまでこだわらない人は“セットウェッジ”までそろえる可能性がある。すると必然的に、マッスルバックやハーフキャビティなどアスリート向けのアイアンはPW(相当)までのセットになりがちで、ポケットキャビティや飛び系などアマチュア向けのアイアンは“セットウェッジ”まであるアイアンになるといえる。
そういう流れがある中で、特徴的と言えるメーカーがダンロップだ。やさしい飛び系アイアンの「ゼクシオ」シリーズ(エックス、12、クロス、プライム)はもとより、アスリートラインとなる「スリクソン ZX」シリーズ(ZX4、ZX5、ZX7)でも“セットウェッジ”を用意している。言うまでもなく、同社は“単品ウェッジ”で知られる「クリーブランド」というブランドがある。つまり「ZX」というアスリート系のアイアンでも、PW以下の番手で“単品ウェッジ”と“セットウェッジ”の選択肢があるのだ。
ダンロップスポーツマーケティングの広報部・浅妻肇氏はこう話す。
「“セットウェッジ”は、形状、長さ、ヘッドのバランス、素材、シャフト、グリップなど、番手の流れを考えて設計しているので、ウェッジは別モノと考えず番手の流れでセッティングしたい人のために用意しています」
実際に“セットウェッジ”までそろえる人は、どういうゴルファーが多いのだろう?
「やはりウェッジは別と考えず、セットの流れでそろえたい人が多いと思います。じつは、どのようなウェッジが自分のプレースタイルに合うか、よくわからない人もいるのではないでしょうか。自分に合うウェッジがわからない人は“セットウェッジ”を使用するほうが、スコアアップにつながるかもしれません」
この“セットウェッジ”をもっと掘り下げると、いろいろな個性が見えてきた。
“セットウェッジ”といっても、セットの最小番手(最も大きいロフト)はSW(54~56度)までが一般的だが、ピンの「G425」はLW(58度)までラインナップしている。
ややマニアックになるが、ヘッドの素材にもフィーチャーしよう。今はショートアイアンからウェッジにかけて、ヘッドの素材・材質や形状を変えているアイアンセットが多い。中でも、テーラーメイドの「ステルス」や「SIM2」シリーズ(MAX、MAX OS)は、5I~8I、9I~AW、SWの3段階でヘッド素材が異なる。“セットウェッジ”のカテゴリーまでキメ細かく作り分けているのは、明確な意図・狙いがあるに違いない。
以前まではウェッジまでのフルセットというアイアンがほとんどだったが、今どきのアイアンは大きい番手はUTに、小さい番手は“単品ウェッジ”に食われ気味かもしれない。しかし“セットウェッジ”には、前出のようにメーカーが番手の流れをそろえて作っている強みがある。ツアープロの塚田好宣がかつて「G25」アイアンの“セットウェッジ”やレディス用アイアンの“純正LW(58度)”を使って話題になったこともあった。
アイアンのストロングロフト化によって、ウェッジのフォーメーションを作るのがややこしくなっていたり、ウェッジ選びに迷っているのならば、まずは“セットウェッジ”から打ってみるのも手だ。場合によっては“セットウェッジ”と“単品ウェッジ”のコンボもアリだろう。食わず嫌いにならず「打ってみたら意外にイイじゃん」っていうこともあるかもしれない。