「Sansan・KBCオーガスタ」でツアー初優勝を挙げた河本力。ツアーNo.1の飛距離を持つスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

河本力選手がそのポテンシャルを遺憾なく発揮して初優勝を挙げました。河本選手は、中嶋常幸プロが主宰する「ヒルズゴルフトミーアカデミー」出身でアカデミーの取材の際に中嶋プロから聞いた当時の河本選手の話しを思い出します。

「アカデミーでマスターズの視察をする機会があって力を連れて行ったときに、どうだ、マスターズに出てる選手は?と聞くと『ドライバーですごいなと思ったのはダスティン・ジョンソンとマキロイだけです(笑)』というんだよ」でも河本と杉原大河の飛距離は世界で通用するポテンシャルを持っているからこれから楽しみな選手なんです」と教えてくれました。

でもその言葉通りの飛距離を持つ大型プレーヤーの誕生は、男子ツアーにとってもとても良いニュースになったことでしょう。桂川有人、大西魁斗らの同世代の活躍に刺激されながらも自分のプレースタイルを確立させそれを貫き、最終ホールのバーディパットを決め自らの手で優勝を手繰り寄せた勝ち方も劇的でした。それでは、325ヤードを誇るドライバーショットを見てみましょう。

スウィングの見どころが多すぎて紹介しきれないのですが、ここでは飛ばしの原動力となる捻転差と回転力、優れた方向性に注目してみます。

画像Aの左のトップを見ると、右の股関節が後ろに回り過ぎず、90度以上回っている上半身に関節の可動域、筋肉の柔軟性を感じさせます。切り返しで下半身は正面に向きながらも胸は右に向いたままで上半身と下半身の捻転の大きな差を生んでいます。この切り返しの間がゆっくりとしている点も河本選手のスウィングの特徴です。

画像: (画像A) テークバックでの深い捻転から、切り返しで上半身と下半身の大きな捻転差を作り飛ばしの原動力とする(写真は2022年東建ホームメイトカップ 写真/姉崎正)

(画像A) テークバックでの深い捻転から、切り返しで上半身と下半身の大きな捻転差を作り飛ばしの原動力とする(写真は2022年東建ホームメイトカップ 写真/姉崎正)

切り返しからダウンの初期で作った捻転差をおへそがターゲットに向くくらいの骨盤のローテーションでクラブを引っ張り続けます。それだけ骨盤は回転しているのに肩のラインは開かずにいることで、適度なインサイドからの軌道と入射角を確保しています(画像B)。

画像: (画像B) インパクト前後ではおへそがターゲットに向くくらい骨盤を回転させながらも肩のラインは開かないことで適度なインサイドからの軌道と入射角を確保する(写真は2022年東建ホームメイトカップ 写真/姉崎正)

(画像B) インパクト前後ではおへそがターゲットに向くくらい骨盤を回転させながらも肩のラインは開かないことで適度なインサイドからの軌道と入射角を確保する(写真は2022年東建ホームメイトカップ 写真/姉崎正)

画像Cでは方向性の良さを物語るフェース面の管理が見て取れますが、もう一つ注目すべきは、右ひじの動きです。インパクト前後で右ひじに余裕が見られますね。これだけのパワーヒッターでありながら、右ひじの曲げ伸ばしで飛ばすヒッタータイプではなく体幹主導の回転力を使って飛ばすスウィンガータイプであることも見て取れます。筋力と柔軟性の両方を兼ね備えたことで飛距離と方向性を手にしたスウィングといえるでしょう。

画像: (画像C) インパクト前後で右ひじの曲げ伸ばしを使わず体の回転力を使って飛ばすスウィンガータイプであることが見て取れる(写真は2022年東建ホームメイトカップ 写真/姉崎正)

(画像C) インパクト前後で右ひじの曲げ伸ばしを使わず体の回転力を使って飛ばすスウィンガータイプであることが見て取れる(写真は2022年東建ホームメイトカップ 写真/姉崎正)

まだまだスタートラインに立ったところだと思いますが、中嶋常幸プロが太鼓判を押すこのポテンシャルにはどんなプレーヤーに育つのか楽しみでしかありません。秋のビッグトーナメントで同世代の若手と優勝争いをする姿が見られると男子ツアーも盛り上がってくるのではないでしょうか。

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