ゴルフシューズ市場ではフットジョイが長く王者の地位を独占してきていましたが、アディダスから「コードカオス」が発売されて以降その牙城を切り崩してきているようです。矢野経済研究所の三石茂樹氏にインタビューしたところ確かにトップシェアはフットジョイからアディダスへと勢力図に変化が生じているようです。
そこで、発売されたばかりのスパイクレスシューズの2モデルを履いて実際にラウンドしてきましたのでそれぞれのシューズの特徴と選ぶ際のポイントになる点をレポートしていきます。
まずはアディダス「コードカオス22」ですが、AIGオープン(全英女子オープン)を3位で終えた渋野日向子選手が履いていたのはみなさんご存じ通り。「コードカオス」は、フィット感がよく足になじむ追従性とクッション性、そして疲れにくいといった、まるでしっかりグリップする靴下を履いているかのような履き心地が特徴ですが、「コードカオス22」もこれまでのコンセプトを踏襲しつつ、防水性やホールド性、グリップ力をアップデートさせてきています。
アッパー部はニット素材のフィット感を保ちつつ防水仕様になっているため、朝露や突然の雨でも心配ご無用。グリップ力も高まっているので傾斜からのショットでも滑るようなことはまったくありませんでした。ボアで締めたあとにファスナーでさらにホールド性をアップさせることもできるので、好みのフィット感を得られるようになっています。
続いてフットジョイの「プロSLスポーツ」。「プロSL」は同社のスパイクレスシューズの中でツアーでの着用率No.1 の実績を誇るツアープロからの信頼の厚いモデルです。軽量なスパイクレスでありながらスパイク並みのグリップ感としっかりとしたホールド性が特徴です。そういう意味でこの2モデルは近い存在といえますが、スニーカータイプの「コードカオス22」とゴルフシューズらしい「プロSLスポーツ」では見た目は大きく違いますね。
軽量でスパイクレスという同じカテゴリーの2つのモデルの大きな違いは、ねじったときの剛性感にありました。「コードカオス22」は足の動きに対して高い追従性を持ちながらサポートしてくれる感触で、「プロSLスポーツ」はねじろうとしてもキープしてくれるのでしっかりと踏ん張ってくれる感触があります。
防水性能はどちらも高く蒸れる感じもなく快適でした。歩いてもシワがつきにくく汚れもつきにくい印象です。ボアの位置が「コードカオス22」は甲の外側にあるの、体が硬い年配者でも手が届きやすいですが、「プロSLスポーツ」はボアのダイヤルがかかとにあるため、足首の両側をワイヤーが通っているせいでしっかりと締められホールド性を高めてくれています。
最後にインソールを比べてみました。「コードカオス22」に比べて「プロSLスポーツ」の方が倍くらいの厚みがありました。「コードカオス22」はミッドソールの素材に「ブースト」のクッション効果が大きいのでインソールはそこまで厚みを持たせる必要がないのでしょう。対して「プロSLスポーツ」は、インソールに厚みを持たせることでねじれの少なくやや硬めのソールの履き心地を快適にしてくれています。
もう一つ、申し上げておきたいのはシューズの性能ではありませんが、「コードカオス22」などゴルフ部門のアディダス製品は100%リサイクル素材を使用しバージンポリエステルを使わないという環境問題への取り組みです。規模の大きなメーカーがリサイクルに取り組むことでコストも下がるでしょうし消費者がそのコストの一部を負担することで環境問題に対する意識改革にも役立つことでしょう。
と、ここまでそれぞれの特徴と述べてきましたが、スポーティな見た目の「コードカオス22」に対してトラディショナルな雰囲気をまとう「プロSLスポーツ」。柔らかい履き心地の「コードカオス22」に対してねじれの少ないしっかりとしたホールド性の「プロSLスポーツ」という2点が大きな違いではないでしょうか。そこで、スウィング中に足が動き過ぎて安定しないタイプの人や、ある程度かっちりしたシューズが好みの人は、ホールド性の高い「プロSLスポーツ」。足の動きは穏やかで下半身が暴れない人、カートには乗らずにできるだけ歩きたい人には「コードカオス22」をオススメします。
みなさんは、どっちを選びますか?