タイトリストのツアーボール「プロV1•V1X」がPGAツアーで使用率1位ということは、よく知られていますが、ドライバーの使用率も1位ということはあまり知られていないようです。ちなみにウェッジの使用率も1位です。
以前の「915」や「917」シリーズまでは打感やシェイプに文句なしでしたが、体力に見合った飛距離しか望めない印象でした。それが「TS」シリーズに変わってから明らかにギアのポテンシャル、飛距離に関しての進化も感じるようになりました。
2018年当時カリフォルニアのカールスバッドにあるテストセンターでエンジニアに話を聞き、試打する機会に恵まれた際、エンジニアのこんな言葉を思い出しました。「超高速度カメラを導入し、これまで見えていなかったインパクト前後の現象を目の当たりにし飛距離でも他社を圧倒する開発を日々続けている」と。
今考えると「TSシリーズ」の発表の時期でしたが後の「TSiシリーズ」の構想もすでにあったのかもしれません。飛距離だけでなくヘッド形状もラインナップを増やしテーラーメイド、キャロウェイ、ピンといったブランドと真っ向から勝負し、幅広いユーザーに受け入れられて来ました。
そしてテーラーメイドやキャロウェイが毎年新製品を発表する中で通常通り2年の発表サイクルに合わせて、ついに「TSRシリーズ」が登場しました。前作では新しく独自のフェース素材や可変ウェートなど大きな変化がありましたが、今作はデザインの特徴を踏襲しながらエアロダイナミクス性能の向上させ「TSR2」、「TSR3」、「TSR4」の3モデルをラインナップしています。
マイドライバーも持参し、室内で計測器はカメラ式の「GC4」を使ってシャフトは「テンセイ1Kホワイト」を差し替えながらテストしました。
3つのヘッド形状の中で大きく変わったのは「TSR2」です。「2」シリーズは投影面積が大きく少しぼてっとした印象でしたがスッキリしました。それでいて慣性モーメントの大きさや重心位置は直進性を高める方向に設計してあるようで、マイドライバーとの比較で平均で+5ヤード。左右のばらつきも少なく非常に好感触でした。適度なつかまりも度合いも良かったです。
続いて「TSR3」。こちらはほぼ前作の「TS i3」を踏襲しプロや上級者、ハードヒッターが好む左を恐れずに振り切れるヘッド形状です。ドローやフェードを打ち分けもイメージしやすいニュートラルな印象です。私にはもう少しつかまって欲しいなという印象で「TSR2」のほうがデータ的にも良かったですね。
最後にテストしたのが「TSR4」。小ぶりのヘッドで塊感があってしっかり叩ける、思い切って振れる感触でした。マイドライバーに対して平均でプラ7ヤード、一発の飛距離もキャリー265ヤード、トータル289ヤードとという結果でした。
前作の「TS i3」からの乗り換えなら「TSR3」をお薦めしますが、他社のモデルからの乗り換えを検討している人は3つのヘッドを試打することをお薦めします。そうすることによって自分の好みがハッキリと認識されるはずです。
私なら「TSR2」と「TSR4」で迷うところですが飛距離を求めるなら「TSR4」、安定性を求めるなら「TSR2」を選ぶことになりそうです。飛距離か安定性か。ここはしっかり振って曲がりも少なかった飛距離重視の「TSR4」を選びます。マイドライバーと比較試打してみる価値はありそうです。