PGAツアー22-23年シーズンの開幕戦フォーティネット選手権でリッキー・ファウラーが昨年のCJカップ以来11カ月ぶりのトップ10入りを果たした。今年の8月に13年間苦楽をともにしたキャディと決別。9月にはここ3年ほど師事していたコーチのジョン・ティレリーの元を離れ新体制で挑んだ初戦はショット、パットともにかつての輝きを取り戻したかのように見えた。その裏にはあの大御所の存在があったようだ。

雨模様だったフォーティネット選手権最終日、ファウラーは上がり3ホールをイーグル、パー、バーディと理想的な形で締めくくり連覇を達成したマックス・ホーマに5打差の6位タイでフィニッシュした。

16番パー5では残り268ヤードを8メートルにつけると雨でやや遅くなったグリーンのスピードを読み切り流し込むようにイーグルパットを沈めクールにガッツポーズ。最終18番ではグリーン横からのアプローチをタップインの距離に寄せ楽々バーディ。18ホール中グリーンを外したのは2ホールだけとショットが冴えファウラーらしさが光るラウンドとなった。

画像: 人気者リッキー・ファウラーの復調は日本のファンにとっても嬉しいニュース。復活優勝が待ち遠しい(写真は2022年のフォーティネット選手権 撮影/Getty Images)

人気者リッキー・ファウラーの復調は日本のファンにとっても嬉しいニュース。復活優勝が待ち遠しい(写真は2022年のフォーティネット選手権 撮影/Getty Images)

ティレリーコーチの元を離れてからファウラーがコンタクトを取ったのは20代の頃師事していたブッチ・ハーモン。タイガー・ウッズの初代(プロになってから)コーチとして有名なブッチは以前何人もの教え子を抱えていたが年齢的なこともあり息子のクロード・ハーモンに弟子たちを引き継ぎ現在はほぼ引退状態。

しかしファウラーは果敢に元コーチに接触し「これからはブッチと密に連絡を取ろうと思う」と数週間前に語っていた。そして開幕戦の前にブッチとセッションをおこなったようだ。

ブッチは選手を型にはめるのではなく本人の感性に重きを置いて長所を伸ばす教え方が特徴的。「スウィングのあれこれを考えるのではなく技術のことは忘れてゴルフに集中したい」というファウラーが初日、好プレーを見せた背景には御大の言葉のマジックがあったのかもしれない。

全盛期は世界ランク4位だった彼も現在176位に後退。14年にはメジャー4大会連続トップ5入り(2位が2回)でネクストメジャーチャンピオンと呼ばれたが昨年は4つのうち1つ(全米プロ)しか出場できず一昨年は大事故で負傷したタイガーと一緒にマスターズをテレビで観戦したという。

昨季は2シーズンぶりにプレーオフシリーズに出場したがLIV移籍組が抜けたため、ギリギリ125位に滑り込んでのシード確保。キャディとコーチを変え新体制で新シーズンに挑むのは彼にとってこれが背水の陣だからだ。

ゴルフ場でアイドル並みの黄色い声援が飛ぶのはファウラーだけ。ツアー屈指の人気を誇る彼も33歳。人気の割に優勝は5回だけと実績は物足りない。それでも華のあるプレーヤーであることは間違いない。

左腕に「もっとも影響を受けた人。ゴルフの世界に導いたくれた人」とファウラーがいう祖父の名前“田中豊”のタトゥーを刻む日系人ゴルファーがブッチの助言でもうひと花咲かせるか? いや、咲かせて欲しい。

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