天候に恵まれ松やヒノキでセパレートされた紫CCすみれコースの景観の美しさとは裏腹に、深いラフと硬く速いグリーンが選手のメンタル、体力を奪います。
2日目を終えアンダーパーはわずかに3名となり、難易度の高さを感じさせています。とくに難易度が高いのはアウトコースでは距離のある3番パー4と8番のパー3。インコースでは左ドッグレッグの14番と距離のあるパー4の17番です。
上位選手の8番パー3を観測してみると、奥29ヤード、左から5ヤードに切られたピンに対してグリーンセンターに落として、ピンの右サイドに止まればナイスオンという状況。左手前の深いラフからはピンに向かって下り傾斜になるため寄せるのはほぼ不可能なピン位置でした。
山下美夢有選手は左のラフからダブルボギー、小祝さくら選手は左のバンカーからホームランで同じくダブルボギーと難関ホールでスコアを落とします。
続いて、右の林と一本木の間の空間を狙って打たなければならない14番ホールでは、左傾斜のフェアウェイに対してフック回転でボールが落下すると左のラフにまで転がります。
山下選手は左の深いラフからの2打目を引っかけ3打目をバンカーに入れダブルボギーと流れに乗れません。同じく出だし4ホールで3つのバーディを奪ってスタートした佐藤心結選手は、右の林からボールが落ちてこずにロストボールとし、打ち直してトリプルボギーと貯金を吐き出しました。しかし、佐藤選手は残りの13ホールを1アンダーでプレーしトータルイーブンパーの4位タイで決勝ラウンドに進みました。
紙一重のミスでダブルボギーになってしまうセッティングにナショナルチームのガレス・ジョーンズコーチの言葉を思い出します。ガレスコーチは、上りの真っすぐのライン「ゼロライン」に狙って打っていけるエリアを「インポジション」と名付け、ミスをしたらその「インポジション」に戻すことを最優先するマネジメントをナショナルチームのメンバーに徹底して指導しました。欲張らずにインポジションに戻してから打つことが、この難しいセッティングでダブルボギーを叩かない唯一の方法なのでしょう。
リーダーボードを見ると、強風の「アース・モンダミンカップ」を制した木村彩子選手が2アンダーの首位、森田遥、菅沼菜々が1打差の2位タイ。イーブンパーに佐久間朱莉、イ・ミニョン、川﨑春花、上田桃子、佐藤心結と続きます。
上田桃子選手は5バーディ5ボギーと、「自分の目標に行くためにはこんな所でくじけていられない」と打たれても打たれても倒れずに立ち向かってバーディを奪うタフさを見せてくれました。メジャー優勝のヒントをグーグル検索に求め、
「グーグルで『タイガー・ウッズ メジャー どうやったら勝てる』と検索したら、日曜日をいい位置で迎えられることが大事だということがわかって、気持ちを先走らせることなく一日一日、1ホールずつ進んでいけたら」(上田桃子)とラウンド後の会見で話してくれました。
日没の早くなる時期に最終組までサスペンデッドにすることなく何とかプレーを終えました。風も強くない恵まれたコンディションの予選2日間を終え、54位タイまでのカットラインは7オーバーとなりました。2日目のアンダーパーでプレーしたのはわずかに5名と心技体を試されるプレーが週末も続きます。
最終日のバックナイン14番、17番の難関ホールを切り抜け、最終18番パー5で笑顔を見せてくれるのは誰になるのか? 引き続き注目しましょう。