ゴルフには“スコアの壁”がつきもの。ビギナーを脱したアマチュアゴルファーに立ちはだかるのがスコア100の壁だ。これを乗り越え「100切り」を達成するにはどうすればいいか? プロゴルファー・兼濱開人が状況別に解説。今回は、レッスン記事などで良く語られる「ボールの方向性を安定させる」とは具体的にどういうことなのか、詳しく教えてもらおう。

レッスン記事・動画などで「ボールの方向性を安定させる」などといった表現を目にしたことがあるゴルファーは少なくないことだろう。実際に兼濱のレッスンを受ける生徒のなかにも同じような悩みを持つゴルファーからの質問が来ることが少なくないというが「これに答えるためには『方向性を安定させたい』という悩みの裏にある、2つのパターンを分けて考える必要があります」という。

「1つ目は現状のスウィングで方向性をよくするのか。そして2つ目は正しいスウィングを身に付けたうえで方向性をよくしたいのか、ですね。この2つのパターンが『方向性を安定させたい』というワードに含まれているので、それぞれを分けて考える必要があるんです」(兼濱、以下同)

画像: 「方向性を安定させる」。レッスン記事や動画などでよく聞くワードだが、具体的にはどういうこと?(写真はイメージ)

「方向性を安定させる」。レッスン記事や動画などでよく聞くワードだが、具体的にはどういうこと?(写真はイメージ)

そもそもの話、ボールの方向性を安定させるとは、ざっくり言えばターゲットに対してきちんとボールを運ぶということ。「これはゴルフというゲームにおける僕たちの目的でもあるのですが、これを達成するための『手段』が目的と入れ替わってしまっている方が多いんです」と兼濱。

「ここでいう手段とは、スウィングや球筋のことですね。例えば、よくお客様から『ボールが真っすぐ行かない』と相談されることもすごく多いのですが、前述したように『狙っているターゲットに対してどうやってボールを運ぶか』が僕たちの目的で、真っすぐ打つことはあくまで手段でしかありません。そもそもアマチュアの方が言う『真っすぐ』は幻想で、プロや上級者でも真っすぐ打てている方なんてほぼいなくて、曲げている人のほうが圧倒的に多く、曲げたほうがボールをコントロールしやすいですしね。少し耳が痛い話かもしれませんが、手段に囚われて練習している以上目的を達成することはないですよね、ということです」

もちろんよりよいスウィング、自分の理想とする弾道を追求することも間違いではないが、方向性を安定させるという目的に絞れば「現状のままでも十分達成できる可能性があるんです」と兼濱。

「例えば、現状自分がスライスしか打てないのであれば、計測器などで曲がり幅を計測して、それに基づいてスパットやターゲットを決めればいいわけです。実際、かなりのロースライスを持ち球にしている男子の竹本直哉プロみたいな選手もいるわけですからね」

これが1つ目のパターンに対する回答。もちろん曲がり幅や飛距離の再現性はある程度求められるが「今自分が持っている持ち球で狙いどころにボールを運べるように、構え方やターゲットの決め方を工夫すること」も正解のひとつというわけだ。

とはいえ、よりよいスウィングを目指したいという思いを持つのはゴルファーの性。「ちょっと未来志向で、よいスウィングでターゲットをボールに運ぶことを目標とするなら『ドローボールを目指してください』とお客様には明確に伝えています」と兼濱は言う。

「これが2つ目のパターンに対する答えですね。そもそもゴルフクラブには重心角がついていますから、自分で当てに行くのではなくクラブの通り道にあるボールに当たるスウィングができていれば、スウィングのなかでヘッドに遠心力がかかりフェースは自然と閉じながらインパクトすることになります。するとある程度ボールはドローするはずで、少なくともめちゃくちゃ右に行く、なんてことはないわけです。『左にミスが集まり始めたらスウィングが習得できていますよ』とお客様にはお伝えしていますね」

そして再現性よくドローボールを打つことができるようになったのなら、その曲がり幅などを考慮してスパットやターゲットを定めればいいというわけだ。

まとめると、方向性を安定させるためには必ずしもスウィングや球筋をガラリと変える必要はないということ。自分がどちらのパターンであるのかを改めて自問自答し、手段が目的化しないよう明確にすることが、上達の早道と言えるだろう。

協力/レッツゴルフ銀座

※2022年10月27日14時0分 文章を一部修正いたしました。

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