元・プロ野球の投手の武田一浩は、ゴルフのベストスコア「69」で、身体能力はトップクラスの人材がひしめくプロ野球界の選手会のゴルフコンペで数回の優勝を果たす腕前を誇る。武田は現在57歳だが、過去35年間ゴルフ練習場で球を打ったことがないのだという。練習しないでどうして上手くなれたのか。その秘訣を公開する。

まず、武田一浩のゴルフ歴をざっと振り返ってみよう。

「小学生の時に所属していた、野球のリトルリーグの『調布リトルリーグ』の監督に、バッティングがよくなるからと、毎日、練習後に打ちっ放しでゴルフの球を打っていました。初ラウンドは高校3年で、野球の夏の大会終了後に母方の伯父に連れられて、スコアは『132』でした。高校時代にもう一度ラウンドした時は『89』です。その後、大学3年生の時にまたゴルフをやるようになって、その後は80台も出れば90台も出る。100以上も2~3回あったかなという感じです。プロ入り後、2年目のオフにゴルフの練習を結構やるようになって、それからはスコアも70台が出るようになったし、だいたい80台で安定してきましたね」

画像: 元プロ野球選手・武田一浩にインタビュー! ゴルフ歴や練習のコツを聞いた

元プロ野球選手・武田一浩にインタビュー! ゴルフ歴や練習のコツを聞いた

本格的にゴルフを習った経験がないにも関わらず、武田が最初から良いスコアで回れたのは、小学生時代に球打ちをやっていたことがゴルフスウィングの基礎を作ったことに加えて、ショートゲームがうまかったからだという。

「アプローチは野球のボールを投げる感覚は似ていますからね。短いアプローチは下からポーンとトスをする感覚ですね。だから距離感とか打ち方も自然にできちゃったという感じです。パッティングに関しては練習も嫌いじゃなくて、パターマットなんかも使って2メートルを入れる練習は散々やりました。考え方としては、2メートルのパッティングの確率を上げて10回に8回入ればスコアは格段に良くなるということです。ゴルフ場の練習グリーンでも、ロングパットはグリーンの速さを確認するくらいで、2メートルの練習しかやらないです」

ショートゲームの打ち方で大事にしているのは「右手の感覚」だ。

「ショットも含めて、自分の中では右手のひらで打っている感覚です。フェース面が右手のひらの延長のようなイメージで打っていますね。アイアンも引っ掛ける時は手のひらが被っている。ショートゲームは特に右手の感覚を大事にしています」

武田はこれまでに、定期的にゴルフのレッスンを受けたことは皆無だという。じゃあどうやってゴルフのスキルをアップさせてきたのか。レッスン教材はテレビのゴルフ中継だった。

「テレビでプロゴルファーのスウィングを見て、あ、こういうふうに振っているんだって、体の使い方とかは見ていてわかるじゃないですか。それを参考にしてフォームを自分なりの作ってきた感じですね」

もちろん、多くの人もそうやってプロのスウィングを真似ようとするが、ほとんどがまったく違うスウィングになってしまう。このフォーム作りに関して、武田は独自のメソッドがあるという。簡単に言うと「フォームは、最初と最後の形をしっかりと押さえておけば、その中間の動き方は自然に定まってくるので気にしなくてよい」ということなのだ。

「ピッチングのフォームを考えた時に、もっともスピードが出る腕振りの瞬間のフォームだとか筋肉の使い方なんかを細かく制御することはなかなか難しいものなんです。そこはゴルフのスウィングも一緒ですよね。でも、動きがゆっくりな最初と最後の部分のフォームは意識して作れるし、変えることも出来る。僕は野球の現役時代に、そこを意識してピッチングをやっていました。例えば、ピッチングの時に、振りかぶる時に背筋を使うんです。次に足を上げる時には腹筋を使うんです。『最初』にそこを意識するとフォームも安定します。そしてピッチングの『最後』の部分は、例えばインコースに投げる時は、僕は踏み込んだ前足を着地する時に内側に向けるんです。ストレートの時は親指は真っすぐ向けて接地する。これでコースを投げ分けていました。だからあまり手先で操作しないんですよね。こうやって動きのスタートとフィニッシュを分かっていれば、その間の動きとか軌道というのは自然にできるということなんです。ゴルフのスウィングもまったく同じです」

それで武田は、プロゴルファーのスウィングを見て、トップのフォームやフィニッシュの収まり方などを見て、それを手本にして自分なりにフォームを作っていったという。実際に、みんゴルの高島早百合にアウトサイドインの軌道を直すレッスンを受けた時にも「インサイドアウトでドローボールを打つ時に、トップとフィニッシュの時の形を教えてください」と訊き、その後に見事にドローボールを打ってみせた。

そんな武田は、普段は練習場で球打ちはしないという。その理由を聞いてみた。

「この35年間、打ちっ放しの練習場に行ったことはありません。練習に行き出すと、凝っちゃっていろいろいじりだすのでよくないんですよ。でも家で素振りはよくやりますよ。おもにスウィンの最初と最後の確認のためですね」

普段、練習場で球打ちをしないのには、こんな効用もあるという。

「練習もやらないわけだから、ミスしても当たり前と思える。だから緊張もしない。ミスして怒っている人の気もちが分からないですね。そんなに練習しているのかって思ちゃいますよ。自分も、もし凄く練習をしていたらミスしたら怒りますよ。『この下手くそ!』って自分に腹が立って、それでスコアを崩す。でも練習しないからミスして当たり前って思える。だからゴルフで上手く行かない日は、『こういう日もある』って受け流すことができるわけです。まあ、もともと、ネガティブなんか考えたこともないですけどね。プロ野球で周りの連中よりも10㌢以上身長が低いのにやっていくわけだから、それくらいのメンタルじゃないと無理ですから」

武田一浩のゴルフスウィング上達メソッド、なかなか深いものがある話だった。

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