「スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント」で今季2勝目を挙げたのは小祝さくら。降雨中断やサスペンデッドの難コンディションを3日間ノーボギーと安定感を発揮したスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

小祝さくら選手は、前週の難セッティングだった「日本女子オープン」の初日を4アンダー単独2位でスタートし7位タイで終えていました。今季からコーチを務める吉田直樹コーチに話を聞くと、2週前にトップでクロス(シャフトの向きがターゲットラインとクロスする)の動きが強くなっていたのを修正し、テークバックで右腰を止めずに少し回しながら動かすように微調整したといいます。もう一つ、ドローが強くなるインサイドアウト軌道の傾向を、そうなり過ぎないようにヘッドカバーをボールと右足の中間付近に置いて練習するドリルも繰り返し続けていました。

体の疲労やコンディションによってスウィングも微妙なズレが生じるもの。いかにそのズレを小さい幅で収めて年間を通してパフォーマンスを安定させるかというのがコーチの大きな役割でもありますが、パッティングも含めて先週の小祝選手はバッチリはまっていました。ではそのスウィングを見てみましょう。

両足の甲から線を引いてみるとスウィング中の左右の動きが見えてきます。小祝選手はアドレスとトップの位置で右腰の位置はほとんど変わりません。つまり右への体重移動が少なく軸をセンターに保っていることが見てわかります(画像A)。修正した通り、右腰を少し回しながら肩のラインは90度を越えて回っていますがシャフトは地面と平行に満たないコンパクトなトップになっています。トップでクロスしてオーバースウィングになると、インパクトに向けてフェースローテーション大きくしなければならなくなり引っかけのミスが出てしまっていましたが、このように修正してきていましたね。

画像: (画像A) 両足の甲から引いた赤線の幅のセンターに位置し、トップでは90度を越える深い捻転の肩のラインであってもシャフトの位置は平行に満たないコンパクトなトップ(写真は2022年の日本女子オープン 写真/姉崎正)

(画像A) 両足の甲から引いた赤線の幅のセンターに位置し、トップでは90度を越える深い捻転の肩のラインであってもシャフトの位置は平行に満たないコンパクトなトップ(写真は2022年の日本女子オープン 写真/姉崎正)

以前はインパクト前に回転力を作り右ひじの曲げ伸ばしでボールを打つヒッターの要素が強いスウィングでしたが、現在は、軸をセンターに置き左足を伸ばして回転力を得る回転系の要素とヒッターの要素を持つハイブリッドなスウィングになりフェースローテーションを少なくして飛距離と方向性を両立させようとしているのが見て取れます。

画像: 画像B 切り返しで左への移動も最小限。その場で回転し回転力を使ってクラブを加速させていく(写真は2022年の日本女子オープン 写真/姉崎正)

画像B 切り返しで左への移動も最小限。その場で回転し回転力を使ってクラブを加速させていく(写真は2022年の日本女子オープン 写真/姉崎正)

回転系のスウィングはインパクトで体が止まるとフェースが返って引っかけのミスが出るので、フォローまでしっかりと体を回していくことでフェースローテーションを少なくし、方向性をコントロールしています。小祝選手もアイアンでもドライバーでも右肩がターゲットを指すくらいしっかりと回し込んでいます。

吉田コーチは、ドローが強くなり過ぎないようにフェードヒッターの要素を加えて、週やその日のコンディションによって変わる少しドロー、弱いドロー、ストレート、ややフェードの弾道を微調整しながら戦っているといいます。

もう一つ2勝目を挙げられた要因に、この調整力や対応力が上がったことにもあります。2週前に微調整を行ったあと吉田コーチは試合会場に来ていませんでした。コーチに依存し過ぎずに自分で考えて自力で調整する力が上がってきたことで自立することにつながり、それがプレーにもすれが表れていました。もちろんスウィング動画をコーチに送ったり試合を振り返ったりといった最低限のコミュニケーションはあるものの、コーチに依存し過ぎずに選手として自立できるようになったことは、小祝選手にとって大きな成長になったのではないでしょうか。残り試合でもその姿を上位で見ることになりそうです。

画像: 画像C フォローからフィニッシュにかけて右肩がターゲットを指すくらい回転を止めずに振り抜くことでフェースの返り過ぎを防ぎ曲がりの幅をコントロールする(写真は2022年の日本女子オープン 写真/姉崎正)

画像C フォローからフィニッシュにかけて右肩がターゲットを指すくらい回転を止めずに振り抜くことでフェースの返り過ぎを防ぎ曲がりの幅をコントロールする(写真は2022年の日本女子オープン 写真/姉崎正)

日本女子オープンではドライバーの調子が悪かった西郷真央も1打差の2位と復調していきていますし、同じく調子を崩していた西村優菜選手も日本女子オープンでは3位タイと復調していきています。年間女王争いも残り7戦(ツアー選手権リコーカップ含め)となりいよいよ目が離せなくなって来ましたね。

画像: ヘッドスピードが37.8→40m/sに! 元バレーボール女子日本代表・狩野舞子が小澤美奈瀬に教わった練習法とは?! youtu.be

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