10月11日にピンの新製品「G430」シリーズが発表になった。
現行モデルの「G425」は、同社としては2013年発売の「G25」以来の2年サイクルでの販売になったということで、待望のNEWモデルにファンの期待は大きい。メディア発表会に登壇したジョン・K・ソルハイム社長が「ここまで前作から進化したことは、自分の経験にない」という自信作になっている。
いっぽう、折からの円安や輸送費、原材料費、その他費用の高騰で販売価格が前作から大きく上昇することとなった。前作「G425 MAX」ドライバーは7万7000円(以下 税込)のところ、今回の「G430 MAX」ドライバーは9万3500円。差額が1万6500円と約21%の値上げだ。上級者モデルの「G430 LST」に至っては、2万2000円の値上げになっている。
じつは日本市場以外のマーケットでは、すでに現行の「G425」が販売途中で10%値上げされていたという。費用の高騰により、やむを得ず販売価格を変更せざるを得なかったわけだが、日本では値上げがおこなわれなかった分、このタイミングでの大幅値上げになったようだ。
これまでピンは、性能がよくて、しかも安価という、価格の優等生的なメーカーだった。なかでも、大山志保が長く愛用したことでも知られる2011年発売の「G20」ドライバーは、なんと定価が3万8850円だった。その頃の為替は1ドル=76円。当時の同社はグローバル統一価格を標榜していて、円高の影響もあって今では考えられないお得感のあるモデルだった。最近の急激な円安を考えると、まさに隔世の感がある。
さらにいうと、この10年あまりでゴルフクラブの構造が大きく複雑化してきた。カーボンクラウンに代表される異素材を多数組み合わせて、構造や肉厚は複雑となり、ウェイト機構が常備され、製造工程や部品数が大幅に増えた。
その影響はピンだけにとどまらず、他の海外メーカーも同様にじわじわと価格が高騰している。例えば、テーラーメイドであれば2009年モデルの「R9」は、6万4800円だった。現行モデルの「ステルス」は、8万6900円だ。
昨今の著しい円安もあり、来年以降はこの傾向がさらに加速していく可能性も低くない。ゴルファーの購買欲にも少なからず影響がありそうだが、いっぽうで新製品を断続的に購入しているユーザーはそれほど価格に執着しないため、大きな影響はないという意見もある。たしかに、カスタムで10万円を超える地クラブドライバーが人気になることもあり、費用をいとわないゴルファーは案外多いのかもしれない。ユーザーが価格差を納得できる機能・性能が出ているかが、ポイントになりそうだ。
<参考 メーカーのドライバー価格推移>
【テーラーメイド】
2009年 R9 6万7800円
2013年 SLDR 7万200円
2015年 M1(初代) 7万7600円
2019年 M5 8万4240円
2022年 ステルス 8万6900円
【ピン】
2011年 G20 3万8850円
2013年 G25 4万3200円
2014年 G30 5万1840円
2017年 G400 6万8040円
2020年 G425MAX 7万7000円
2022年 G430MAX 9万3500円