元プロ野球投手の武田一浩は、安定感のあるショット力で腕前はシングルクラスだが、現在、もう少し上手くなりたいと思っているのが『60ヤードからのアプローチショット』だ。多くのアマチュアもこの距離からのショットを苦手とするわけだが、高島早百合がその理由をズバッと指摘。さらに武田は、短い距離でのフェースの向きに関しての疑問点も高島に解消してもらった。

高島:武田さん、60ヤードのアプローチショットをもう少し磨きたいとのことですが。

武田:そうなんです。80ヤードを打つときは58度のウェッジのフルショットだからいいんですけど、60ヤードのような中途半端な距離が苦手で、コントロールが難しいんです。

高島:60ヤードを打つとなると、どういうミスが出るんですか?

武田:インパクトでパンチが入ったりするんですよね。80ヤードは58度のウェッジでフルショットの距離だから、60ヤードは振り幅をフルショットの3分の2くらいにして距離を調節しているんですが、何故かインパクトで強く入って、結果80ヤード近く飛んじゃうんですよ。そこを直したいと思っているんです。

高島:分かりました。じゃあ、さっそく一度打ってもらいましょう。

――まずは58度のウェッジで80ヤードを打つ武田。結果は、ほぼ80ヤードぴったり。次に60ヤードを打つと、キャリーで65ヤードも飛んでしまいトータルで10ヤード以上オーバーした。

高島:今、80ヤードと60ヤードを打つときとで何を変えましたか?

武田:バックスウィングの大きさです。

高島:う~ん、でも実際はほとんど変わってなかったですよ。

武田:あ、そうですか。

高島:はい。見ていると、振り幅ではなくて、スウィングスピードで調節している感じがします。だから60ヤードよりも飛んでしまうんだと思います。今度は、少し極端に振り幅を小さくしてもいいかもしれませんね。

画像: 左が80ヤード、右が60ヤードの振り幅。今までの武田は、60ヤードを打つときも80ヤードの振り幅でスウィングスピードで調節していたため、コントロールが難しくなっていた

左が80ヤード、右が60ヤードの振り幅。今までの武田は、60ヤードを打つときも80ヤードの振り幅でスウィングスピードで調節していたため、コントロールが難しくなっていた

武田:分かりました。

――次に、バックスウィングを腰の高さに抑えて打つと、距離は50ヤードに。さらに、もう少し振り幅を大きくして、右肩の辺りにバックスウィングを抑えて打つと、ちょうど60ヤードになった。

武田:今ので60ヤードなんだ。

高島:最初はスウィングの振り幅を小さくして距離を短くしていたつもりが、実際はフルショットとそんなに振り幅が変わらなくなっていました。そのまま打つと大きいと思ってスウィングスピードを減速させていたんですが、そのスピードコントロールが上手くできなかった時にパンチが入って飛び過ぎていたということですね。

武田:なるほど。イメージよりもスウィングはコンパクトですね。

高島:そうなんです。だから、20ヤードの違いで振り幅はだいぶ違うということですよね。

武田:確かに、違いますね。

高島:トップの位置を大きく上げて、ダウンスウィングをゆっくり振るというのは難しいんですよ。だから、トップをコンパクトにしてダウンスウィングを普通に振ったほうが、コントロールショットはミスが出にくく安定しますよね。

武田:分かりました。

高島:60ヤードのウェッジショット、一瞬でよくなってしまいましたね。

武田:一瞬ですか(笑)。

高島:もっとコンパクトでいいんですよってアドバイスをしたら、一発目でコンパクトにできましたよね。普通のアマチュアの方は、クラブをそこまでコントロールできる人って少ないので、すぐにそれができると言うのは凄いです。

武田:本当ですか。じゃあ天才?

高島:天才です(笑)

武田:今頃、天才と言われてもなぁ、57歳だもん(笑)。じゃあついでにもうひとつ、ウェッジのショットで気になることを聞いてもいいですか?

高島:どうぞ!

武田:ウェッジや、ショートアイアンもですが、左に引っ掛かりやすいじゃないですか。僕はダウンスウィングがアウトサイドから入ってくるので余計に引っ掛けが気になるので、フェースをちょっと開き気味で構えるようにはしているんですよね。見ていてどうですか?

高島:でも今見たら、開いていると言ってもほぼストレートですけれどね。アウトサイドの軌道も気にするほどではないです。

武田:あ~、やっぱりそうか。最近、それに気づいたんですよ。フェースを開いているつもりが実際はストレートになっている。自分の感覚がおかしいんだってことに。

高島:でも、そういう人は多いですけどね。

――ここで、なぜ武田がフェースを開いているのに実際はストレートになっているという錯覚が起こるかを高島が説明する。

高島:ロフトの多いウェッジになると、フェースをスクェアに構えようとするとシャフトの角度がかなり左に傾くハンドファーストの形になります。これだとさっき武田さんが言ったように、左に引っ掛かる怖さがあるので、グリップを右(体の中心方向)にずらして調節します。この時に、グリップの位置を右にずらし過ぎるとフェースが開いて、ロフトが付き過ぎて飛距離が出なくなったり右に飛んだりします。だから、今の武田さんのショットのように、58度のフルショットで80ヤードの距離がちゃんと打てて、しかも真っすぐに行っているわけだから、フェースはほぼスクェアになっていると思います。

画像: ロフトのついているウェッジは、スクェアに構えるとハンドファーストが強くなる。左に引っかけないよう、グリップの位置を体の中心側に少しずらして調節しよう

ロフトのついているウェッジは、スクェアに構えるとハンドファーストが強くなる。左に引っかけないよう、グリップの位置を体の中心側に少しずらして調節しよう

武田:なるほど。

高島:ボール位置や構え方にもよりますが、サンドウェッジの場合は、グリップが左の足の付け根の内側辺りにくるのがスクェアな構えかなと思います。

武田:それで真っすぐに構えられているんですね。分かりました!

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