エージシュートといえば70代から80代のゴルファーの専売特許。だが先週PGAツアーチャンピオンズ(米シニアツアー)のSAS選手権で63歳のフレディことフレッド・カプルスが「60」をマークし大きな話題になった。86歳のゲーリー・プレーヤーが「コースに出れば毎回エージシュート」というのとは訳が違う。あわや50台の溌剌プレーに会場は大いに盛り上がった。

ブンブン丸(クラブをブンブン振り回して飛ばす)の愛称をもつフレディは白髪になってもレギュラーツアー時代、ライバルが憧れたスムーズなスウィングは変わっていない。

SAS選手権では普段起用している帯同キャディではなくツアーで戦う同僚スティーブ・フレッシュの息子グリフィンがバッグを担ぎ「彼(グリフィン)にいいところを見せよう」と大会に挑んだが初日のスタートホールで出鼻を挫かれるダブルボギー。「カッコつけるものじゃないね」と苦笑いした。

しかし最終日は5番から5連続バーディを奪うと10番では10メートル近いパーパットを沈める神がかり的ゴルフ。12番から7連続バーディで12アンダー60のエージシュートを達成し、後続に6打差の優勝を飾ると、グリフィンは「こんなに簡単にものごとが進むのを初めて見ました。いい経験でした」と雇い主に羨望の眼差しを向けた。

画像: PGAツアーチャンピオンズの「SAS選手権」の最終日、スコア60のエージシュートを叩き出し優勝を果たしたフレッド・カプルス(写真/Getty Images)

PGAツアーチャンピオンズの「SAS選手権」の最終日、スコア60のエージシュートを叩き出し優勝を果たしたフレッド・カプルス(写真/Getty Images)

「プライベートでは58、59をマークしたことがあるけれど競技での60はこれまでの人生で最高のラウンドだね。気分がいいよ。今日は僕の日だった」とフレディは穏やかな笑みを浮かべた。

上位争いはするがここ5年優勝とは無縁。これが17年のアメリカンファミリーインシュランス選手権以来5年ぶりのツアー通算14勝目。レギュラーツアーではマスターズを含め15勝挙げており、シニアツアーでも15勝目に王手をかけた。

しかし本人は記録や賞レースにはまったく興味がないようだ。今季は同ツアーに8試合しか出場しておらず、3試合ある残りの大会はスキップして住まいのあるカリフォルニア戻り「メジャーリーグを観戦する」とのんびりライフを楽しむつもりだ。持病の腰痛と折り合いをつけなくてはならないという事情もあるがフレディにとって一番重要なのはプライベートをいかに充実させるかということのようだ。

シニアの話題といえばこちらも個性の塊ジョン・デーリーの生涯が映画化されるという話がある。メジャー2勝を挙げながらライダーカップに一度も出場したことがない稀有な存在。アルコール依存症、ドメスティックバイオレンス、4度の結婚と離婚……まるで映画のような人生だがそれが実際に映像になるという。映画のタイトルなどは未定だが『マネーボール』(ブラッド・ピット主演/11年公開)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたジョナ・ヒルがデーリーの役を演じ、脚本にも携わる。

来月のPNC選手権(親子大会)では息子とともに連覇に挑むデーリー。そういえば3人いる子供は全員母親が違う。波乱万丈の人生、やはり映画化する価値はありそうだ。

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