先週の韓国での米女子ツアー「BMW女子選手権」を19位タイで終えた渋野日向子選手。試合前日、木曜日の青木瀬令奈、上野菜々子とおこなった練習ラウンド前半9ホールについて歩きました。
昨年はぺ・ソンウ選手とのプレーオフ、劇的なイーグルで勝利をおさめた渋野選手ですが、会見では2年前のホールインワンを達成しながら予選落ちした苦い思い出も振り返り、「ギャラリーのみなさんに楽しんでもらえるように全力を尽くしたい」と意気込みを語ります。
ここのところドライバーの調子がいいため、用具契約するピンの新モデルの投入は少し先になるようです。渋野選手の使用する「G410プラス」は前々作のモデルですがドライバーの飛距離はしっかりと出ていましたし、数週間前に新しく投入した「i230」アイアンの距離感にも慣れてきている印象です。スピンの効いたアイアンショットに同伴した青木瀬令奈選手のキャディを務める大西翔太コーチもその弾道の高さに驚いていました。
傾斜が強く、スピードのあるグリーンが特徴でもある武蔵丘ゴルフコースは、ピン位置によって外してもいい場所、外してはいけない場所の見極めがスコアメイクのカギになります。それを踏まえて、グリーン周りのチェックと練習を入念におこなう渋野選手の姿にある変化を感じ取りました。
それは4月のシェブロン選手権、5月のブリヂストンレディスと現地取材して来ましたが、難しいサイドから球を上げて寄せるアプローチが格段に上達していることです。会見では、まだまだ練習中だが米女子ツアーのセッティングで戦う中で必要と感じ練習している、と話してくれました。
「10ヤード以内のイージーなアプローチからボギーを打たない、というゴルフができるように転がしだったり、少しクッションを使うアプローチだったり、ラフに入ったら上げるようなアプローチとかを練習しています。そこに外しても OK と思えるようになれば、もうちょっとショットを打つ時に余裕が持てるたりするので、一応いろんな練習に励んではいます。このコースもすべてのアプローチが必要になるコースなので今日18ホール回って練習しました」(渋野日向子)
アゴが高いバンカーショットでもソールのバウンスで砂を叩く小気味いい音をさせ、スピンの効いた絶妙な寄せを連発していました。今年から挑戦する米女子ツアーでは序盤の好成績から予選落ちが続いた中盤の苦しい時期を乗り越えてくる間にショットだけでなく、試合会場によって芝の種類も感触も異なるショートゲームの練習もかなり積み重ねてきたのではないでしょうか。会見では、ショットも上り調子であることをこう話しました。
「いちばん嫌な引っかけてしまうミスが、9月とかは出てしまうことが多くて、そこをどうしても修正したくて……。6月、7月にも悩んでいたんですけど、最近はそのミスがすごく減ってきていて、ごくたまに出たりしますけど、減ってきたということを個人的にはいいようにとらえています。右へのミスはある程度はしょうがないという風に自分では考えているので、左のミスがなくなってきたことによって、出口が見えてきたと言ってもいいと思っています」(渋野日向子)
左へのミスショットを改善するためにスウィング改造に踏み切った経緯もあるので、その部分が解消されてくると持ち前の思い切りのいいスウィングでピンを攻める渋野選手らしいプレーが見られるのではないでしょうか。
そしてもう一人、同じく米女子ツアーから帰国し参戦する畑岡奈紗選手にも注目が集まります。ZOZOチャンピオンシップで松山英樹をサポートした黒宮幹仁コーチがキャディを務め、多くの意見交換を交わしながらの練習ラウンドをこなしていました。こちらも目指す弾道と手を入れるべく、スウィングのマイナーチェンジをコースで試しながらというところ。どんなゴルフを見せてくれるのかこちらも非常に楽しみです。
明日初日のスタート時間は、畑岡選手は9時50分アウトスタートで渡邉彩香、西郷真央選手と、渋野選手は同じくアウトスタートの10時から山下美夢有、川崎春花選手となっています。明日も現地からのレポートをお届けします。
※2022年10月28日12時7分 文章を一部修正いたしました。