こんにちはケンジロウです。
埼玉県の飯能市よりお届けしています。
女子ツアーの「三菱電機レディス」の取材に来ております。
今週のトーナメントは、アメリカツアーで活躍する、畑岡奈紗と渋野日向子が出場。
渋野は5月に日本の試合に出ていますが、畑岡はじつに2年ぶりの国内ツアーの試合となります(東京オリンピックで霞が関CCは回っていますが…)。会場の武蔵丘GCは都心からも近く、今週は天気もよさそうなので、週末は大勢のギャラリーが来場するでしょうね。
さて、久しぶりに彼女たちのクラブセッティングを撮影させてもらったので、じっくりとその中身を見せてもらいました。
渋野も畑岡もそれぞれの契約メーカーの新しいドライバーがツアーでローンチされていますが、彼女たちはそれぞれピン「G430」(渋野)とスリクソン「ZX7 MKⅡ」(畑岡)をテスト中というものの、まだ実戦投入していません。渋野選手はアイアンが「i230」に変わっていましたが、2人ともドライバーを本格的に打つのはオフシーズンで、そこで試合に向けて調整していくんでしょうね。
畑岡のセッティングで唯一の変化と言えば、パターを変えたこと。
先週、韓国で行われた米LPGAの試合からテーラーメイドの「トラス」パターに変えていましたが、今週もそのパターを投入する模様です。
その「トラスTB2」を撮影していると、何か違和感を覚えました。
「あれ? この『TB2』、オフセットしてないぞ!」
シャフトの延長上に三角形の面(いわゆるトラスネック)があって、構えてみるとシャフトとフェースが同じ面にあるように見えます。「トラス」って基本的にちょっとオフセットしていたような……。
日本の女子プロの間で人気の「トラスTB2」は、少しオフセットしていてシャフト軸線よりフェース面が後方にあります。でも、畑岡の持っているモデルはいわゆる「ゼロオフセット」。完全なるプロトタイプでしょうが、これはいったいどういう経緯で使うようになったのか? 早速、テーラーメイドのパター担当に話を聞いてみました。
「1か月前頃にコーチの黒宮幹仁さんから『畑岡プロにトラスを打たせてみたい』という相談を受けて、彼女のもとに『トラスTB2』を3本送りました。3本の詳細は『ノーマルのTB2』と『カーボンシャフトが挿さったTB2』、そして『ゼロオフセットのTB2』です。ゼロオフセットのモデルは1本だけプロトタイプで作った試作品があったので、それを3本の中に1本入れて渡したんです」
つまり畑岡はその3本の中からゼロオフセットモデルを選んだというわけです。
「ゼロオフセットのセンターシャフトだとエイミング(狙い)がシンプルになると思います。シャフト延長線上が芯なので、そこにボールを置けばいいですからね。昔からセンターシャフトを使っていたような人は、やっぱりこの手のタイプが好きだろうなと思います。畑岡プロもアマチュアのころからずっとセンターシャフトのパターで育ってきましたからね」(同パター担当)
その話を踏まえて、今週畑岡のキャディをしている黒宮コーチに話を聞いたところ、
「オフセットがないとエイミング(狙い)がとりやすいんですよね。
今までエイムが左を向きやすかったので、構えがすごく良くなりました」とのこと。
なるほど。トラスネックでインパクトのブレも抑えつつ、構えもよくなって一石二鳥といったところですかね。プロトタイプと聞くと、なんか欲しくなっちゃいますね。
最後に畑岡本人に、パターを変えた理由を聞きました。
「使って一番最初に思ったのは、同じ距離を打つにしても今までよりストロークを小さくしても勝手にボールが飛んでくれるという感覚があることです。振り幅が小さくできれば芯をとらえる確率も高くなると思いますし、とくにこういう(武蔵丘GCのような)傾斜の強いグリーンだと、自分の狙ったところに思った打ち出しと思ったスピードで打っていかないとなかなか決まってこないかなというのがあるので。(パターを変えて)まだ2週目ですけど、それを生かせていけたらなと思います」(畑岡)
新しい相棒を武器に、武蔵丘の難しいグリーンを攻略できるか。2年ぶりに国内ツアーに帰ってきた畑岡奈紗の、グリーン上に注目です。
写真/姉﨑正