言わずと知れた“キング・オブ・ボール”であるタイトリストの「プロV1」と「プロV1x」。2年振り、待望の新作とあって、契約プロはもちろん、契約外のプロも興味津々だ。
ディンプルの形状など細かい違いはあると思うが、見た目はもちろん、まったく一緒(ボールですから当たり前ですよね……)。過去モデルもそうだったが、違いを見極める唯一の方法は、横に入っている「PRO V1」の文字。現行モデルは左右に矢印(⇔)が入っていたが、新作ではその矢印が消え、“えんぴつ”のような形に。これがわかるだけでも“プロV1ファン”にとっては大きなことなのだが、本当に気になるのは、やっぱり性能面だろう。
その全貌を探るため、タイトリストのツアー担当を直撃すると「性能面についてはまだ言えないんです」の一点張り……。ならば、実際に打ったプロに話しを聞くしかない! ということで、“ミスタープロV1”の藤田寛之プロに話を聞いた。すると、「僕個人の意見ですよ」と前置きしたうえで、話してくれた。
「ボールで大事にしているのはトータルでの性能です。『軟らかくてフィーリングはいいけど、飛ばない』では使えないんです。僕は『プロV1』を使っていますが、そういった意味で、優れたボールですよね。『プロV1』は軟らかさが絶妙なんです。普通、軟らかさを求めると飛距離性能が落ちてしまうんですが、それがありません」(藤田)
なるほど。今使っているボールに不満はなさそうだが……そんな状態のプロを“ニュープロV1”は納得させられるのか? 早く感想を聞きたい……と思っていると、藤田プロはこちらの気持ちを察したように「新しいボールの話ですよね?」と言い、こう続けた。
「まだドライバーとか打ってないからなんとも言えないんですけど、フィーリングはそのまま継承されていて、違和感がないですね。こうやって言うと、『変わってないってことですか?』と聞かれるんですが、実はその“あまり変わらない”が、めちゃくちゃ重要で、そんなに大きく変わらない、パッと打ってもわからないのが「プロV1」のいいところだと思っています。だって、いつも使っているボール性能やフィーリングと、まったく違うボールになっていたら選手は困ってしまいますよね? 僕の考えでは、試し始めたときは、そんな感じでよくて、あとは試合で使ってみて総合的に判断すればいいと思っています。でもこれも、最初に打ったときの“フィーリングがいい”という感覚があるからこそ、いきなり試合で試すことができる。あまりに性能が違うボールだったら、試合で使うことはできませんからね。そういった意味でも、今回のボールも確実に進化していると思います。でも、何が進化しているかは、試合で使ってみないとわかりませんが……(笑)」
果たしてニュー「PRO V1」シリーズの進化は? また試合で使った選手たちのコメントを機会があればレポートしたい。
写真/大澤進二