この時期、ホリデーシーズンに先駆け束の間の休日を楽しむビッグネームが多いが、今年の大会はフィールドが厚い。世界ランク1位の座をローリー・マキロイに奪われ再浮上を目指すスコッティ・シェフラーや、大会3連覇を目指すビクター・ホブランなど人気者が数多く出場。注目の2人はともに首位のウィル・ゴードンに3打差の7位タイ(6アンダー65)と快調な滑り出しを見せた。
しかしフィナウは出だしからつまずいた。1番パーの後、続く難易度4番目の2番パー4でOBを連発。ラフを渡り歩き6オン1パットのトリプルボギー『7』を叩いてしまうのだ。
並みのプロなら挽回は難しい。だがフィナウはその後チップインを含め7つのバーディを奪ってカムバック。最終ホールもラフから寄せてバーディで締めくくり68でフィニッシュした。「3アンダー(68)でがっかりな日もあれば3アンダーでWOW(ハッピーな気分)の日もある。今日は後者だった」と笑顔を見せた。
「7は叩いたけれどそれほどダメージはなかった。試合の序盤も序盤だしミスをするなら最後より最初の方がいいからね。やらかしたけれどそれを笑い飛ばすことができた」
笑い飛ばすといえばつい先日(10月終盤)あるポッドキャストに登場したフィナウはデビュー戦の恥ずかしい思い出を打ち明けている。
それは14年のフライドドットコムオープン初日。緊張の中夢舞台であるPGAツアーに初出場したときのことだった。「かなりの数のギャラリーがいたのを覚えている」とフィナウ。初打席だしカッコいいところを見せたいと思う気持ちもあった。
ところがアドレスに入り2、3度ターゲットに目をやりクラブをテークバックしたまさにその瞬間、生理現象に襲われた。そう、辺りに響き渡る大音量のおならをしてしまったのだ。その拍子にスウィングが乱れ打球ははるか左サイドのOBゾーンに消えた。
「恥ずかしかった。ゴルフ場であんなに恥ずかしい思いをしたのはあとにも先にもあれが唯一。打ち直しするときはギャラリーがまだ笑っているし穴があったら入りたかった(苦笑)」
そのときもスタートホールでトリプルボギーを叩きながら挽回し3アンダー69にスコアをまとめたフィナウ。今回は2番のトリプルボギーを笑い飛ばしたが、8年前は恥ずかしさの余り笑い飛ばす余裕はなかった。とはいえ彼には当時からスコアを巻き戻す瞬発力と忍耐力が備わっていたのだ。さすがはツアー屈指の身体能力を誇るアスリートである。