2022年のJLPGA女子プロテストの最終日が行われ、18位タイまでの20名が笑顔を見せた。トップ通過は10アンダーまで伸ばした神谷そら、2位タイに8アンダーで小暮千広、鶴瀬華月と続いた。
画像: 2022年JLPGAプロテスト合格者の20名(写真は2022年の女子プロテスト最終日)

2022年JLPGAプロテスト合格者の20名(写真は2022年の女子プロテスト最終日)

 JLPGA最終プロテスト最終日、4日間で目標の10アンダーに乗せた神谷そらを筆頭に3オーバー、18位タイまで20人のプロが新たに誕生した。プロゴルファーの姉を持つことで注目された吉田鈴、植竹愛海、臼井蘭世、脇元桜はいずれも不合格。過去に単年登録でツアーでプレーしていた笹原優美、高木優奈、ナショナルチーム出身の六車日那乃、佐渡山理莉らも涙を飲んだ。

 プロとしてツアーでプレーできるのか、人生を変える戦いだけにプロテストに臨む選手たちが大きな重圧を受けているのは想像に難くない。今春の「オーガスタ女子アマ」で日本人唯一の予選通過を果たすなど、さまざまな経験を積んできた吉田は「緊張して自分のプレーができませんでした」。重圧から夜もなかなか寝付けなかったという。4日間、合格ライン付近でのプレーが続いた六車は「こんな状況でも私はぐっすり寝られちゃうんです」と苦笑いしつつも、普段はできない吹き出物を気にしていた。吉田は2度目、六車は3度目とプロテストは初めての経験ではないが、結果的にはプレッシャーをコントロールし切れなかった。

 対照的にトップ合格の神谷は不合格だった昨年の経験をうまく生かした。「組全体の雰囲気が良くなるように、意識して『ナイスバーディー』と声を掛けるようにしていました。昨年は楽しめていない自分がいたけど、今年は組み合わせにも恵まれて明るい雰囲気で楽しかったです」。昨年はプロテストが迫ると頭痛を訴えるようになり、深夜に救急病院に駆け込んだこともあった。仮に今年も不合格となれば、来年は現在高校2年生の妹・ももと同時にプロテスト受験。彼女だけが感じるプレッシャーもあったが、今年は体調を崩すこともなく、10アンダーとトップ合格という目標を達成することだけに集中した。

画像: トップ通過を果たした神谷そら(写真は2022年の女子プロテスト最終日)

トップ通過を果たした神谷そら(写真は2022年の女子プロテスト最終日)

8アンダーの2位で合格した小暮千広も2度目のプロテストだった。昨年は日本予選を突破し「全米女子オープン」に出場。「その勢いでプロテストも行けるかなと思っていたけど、そうは行きませんでした」。高校までは全国レベルでの優勝など目立った成績はなかったが、日本大学に進学した今年は「日本女子学生」で優勝。「(緊張して)ご飯ものどを通らないと思っていたら、いつの間にか2つ目のおにぎりがなくなっていました」。明確な実績は大きな自信につながった。プレー中はピンチでも「笑顔で前を向こう」と心がけたという。

画像: 最終ホールをバーディとし2位タイで合格した小暮千広(写真は2022年の女子プロテスト最終日)

最終ホールをバーディとし2位タイで合格した小暮千広(写真は2022年の女子プロテスト最終日)

過去のプロテストの経験を生かした合格者が多いなか、現役高校生で唯一の合格を果たしたのが7アンダー、4位タイの藤井美羽。最終日を首位タイで迎えたものの「自分がトップ合格なんて考えていませんでした」とマイペースを貫いた。母・智子さんによれば「一人っ子でおっとりしていて、これで大丈夫かなというほど競争心がないんです」とのこと。1学年上にはすでにプロとしてツアーで優勝を重ねる川﨑春花、尾関彩美悠、1学年下には馬場咲希らがいるため、自分たちを「プラスチック世代」と自虐的に話す。持って生まれたものなのか、ゴルフをする中で身につけたのか、必要以上に自分にプレッシャーを掛けないことが、一発合格につながった。

画像: 合格ラインに2打足りず涙を飲んだ吉田優利の妹吉田鈴(写真は2022年の女子プロテスト最終日)

合格ラインに2打足りず涙を飲んだ吉田優利の妹吉田鈴(写真は2022年の女子プロテスト最終日)

もちろん、不合格となった選手たちは早くも来年のプロテストを見据えている。吉田は「結果が悪くてもこうして話を聞いてもらえることで頑張ろうという気持ちになります」と気丈にインタビューに応え「この雰囲気でも自分のプレーができるような練習をしたい」と話した。また、最終日はすでに合格ラインが遠い位置だった佐渡山は「今日は来年に繋がるラウンドにしようと思ってプレーしました。今年が一番手応えのあるプロテストだったので、これを続けていけば、来年は大丈夫じゃないかと思います」と笑顔ものぞかせた。年に一度のプロテストの重圧は他では味わえないもの。来年こそは彼女たちがこの経験を生かす番だ。

※2022年11月4日19時32分 文章を一部修正いたしました。

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