3年ぶりに日米の共同開催となった今大会、初日、2日目は上位に日本人選手がズラリと並び、2019年の鈴木愛に続く日本勢の優勝が期待されたが、最終的には3日目、最終日に「65」を並べたドライバーグの圧勝で幕を閉じた。最終日の終盤はグリーン上で苦戦し、思うようにスコアを伸ばせない選手が目立つなか、永井は後半だけで4バーディーを奪い、着実に順位を上げていった。昨季はシード落ちを喫した永井のメルセデスランキングは22位に浮上。賞金ランクの自己最高を記録した2017年の20位とそん色ないポジションで、完全に不調から立ち直ったと見ていいだろう。
選手たちのプレーとは別に今大会で気になったのは中継のスタイルだ。今季の国内女子ツアーは原則「GOLFTV」「DAZN」「U-NEXT」と3つのインターネット放送局で生中継が行われているが、今大会はCS放送、地上波、インターネットをリレーする形での中継となった。見られる内容自体は大きく変わらなかったが、何度かチャンネルを替えながら試合を追うのは多少手間がかかる。ひとつのメディアで長時間中継してくれることのありがたみを改めて感じさせられた。いつの間にか現状の便利さに慣れてしまったとも言える。
数年前、小林浩美会長からネット中継について「なるべくファンの負担にならない形を模索している」という話を聞いた。当時はそれが何を意味するのか分からなかったが、今ならば複数のインターネット放送局で中継することがそれに当たるのだと分かる。すでにどこかのサブスクに加入していれば、追加の負担なくJLPGAの試合も見られる――。これを最終的な理想形と考えているのならば、来季以降、さらに女子ゴルフが見られるインターネット放送局が増える可能性もありそうだ。
一方で現状がファンが期待していた理想の放送内容かというと疑問も残る。多くの人がネット中継の魅力に気付いたであろう2020年の「アース・モンダミンカップ」の印象が強烈だったからだ。コロナ禍のなか、3か月半遅れの開幕戦となった同大会はテレビ中継を行わず、Youtubeでの生中継を実施。メーンの他に、特定のホールに絞ったチャンネルなど、4つのチャンネルが同時に配信され、大会を通じて延べ600万回以上の再生数を記録した。これを基準にインターネット中継を考えていたファンにしてみれば、1チャンネルのみの現在の放送は肩透かしだろう。
いずれにしても、今年はまだ国内女子ゴルフのネット中継元年。次々に新たなヒロインが生まれ、ツアーはより盛り上がりを見せているだけに、視聴方法はより便利で手軽に、放送内容はより充実したものにネット中継もさらに進化していくことを期待したい。