ドラコン挑戦2年目は「『自分への挑戦』がテーマです」(ユージ)
「あなたが主役のドラコン選手権」決勝大会は年齢不問の「オープンディビジョン」、満45歳以上が参加できる「プラス45ディビジョン」、女性が参加できる「ウィメンズディビジョン」の3つのディビジョンで、それぞれのチャンピオンの座が争われた。
ユージが参加するのはオープンディビション。9月24日に開催された「あなたが主役のドラコン選手権」の東日本地区予選会に出場したユージは、1次予選を335ヤードでトップの記録で通過し、予選の最終ラウンドでは349ヤードを記録したものの4ヤード差で決勝大会への進出は果たせずだったのだが、予選での記録が考慮され、主催者推薦枠から決勝大会に出場が決まったのだ。
2分30秒以内に6球を打ち、既定の範囲内に収まった打球の飛距離を競うのがドラコンのルールだが、今大会の前身にあたる「ジア・メディカルCUP 2021日本ドラコン選手権」の決勝大会に出場した際は、第1セット、第2セットともに6球すべてファールという結果で終わってしまったユージ。しかしドラコン挑戦2年目の今年はひと味違う。復活の機会を与えられたユージが、決勝大会に向けて意気込みを語った。
「去年一年、ドラコン大会の出場を経験して感じたのは、周囲のドラコン選手のスウィングやインパクトの音に煽られて力が入ってしまい、抑えようとしても無理して振ってしまうこと。2年目の今年は周囲の雰囲気に気を取らわれることなく、『自分への挑戦』をテーマにします。去年の大会での僕の記録が323ヤードだったので、今日はそれを越えることを目標にやろうと思います」(ユージ)
世界大会ベスト16も参戦するなか、まさかの予選トップ通過!?
オープンディビジョンは15名の選手がAとBのグループに分けられ、それぞれ記録上位者4名に絞られるファーストステージ。そこに敗者復活戦を勝ち進んだ4名を加えた12名で戦うセカンドステージが行われ、上位6名がファイナルステージに進出となる。
ファーストステージから今回の目玉選手の一人に挙げられた徐絢一と、ドラコン界のレジェンド・南出仁寛と同組になったユージ。ドラコン大会で名物MCを務める大村信行のコールを受けて入場。気持ち良く入れた1、2球目でグリッド(セーフゾーン)にイン。3、4球目は球が上がり、5球目は引っ掛け。最後の6球目もハイボールながらグリッドインすることに成功。
3~5球目がミスショット気味だったが、実はコレが今年のユージのドラコン大会の必勝パターン。最初の1、2打はとにかくリラックスして打ちグリッド内に入れ、入った後は記録を狙うという作戦で、予選ではこれで好記録を出してきた。
そして結果は、なんとユージの記録は342ヤード。優勝候補の一人と目されていた徐とレジェンド・南出を下すだけでなく、日本屈指の飛ばし屋が集まるオープンディビション30人中トップの記録でセカンドステージに進出した。
「ファーストステージは、1か月半前の予選会から意識していた『日常の延長』を念頭に臨みました。今年に入って練習場でもラウンドでも、300ヤードは普通にクリアできていたんです。だからこの決勝戦でも、最初の2打目までは普通に打つことを意識して打ったんですが、結果的にそれがグリッド内に入ってくれたので良かったです」(ユージ)
ファイナルステージに進出したユージ。果たして結果は?
セカンドステージに入ってもユージの快進撃は止まらない。なんと、今大会の優勝候補筆頭に挙げられていた、ドラコン世界大会「ワールドチャンピオンシップ・ドラコン選手権」ベスト16の実力を持つ豊永智大に5ヤード差をつける314ヤードを記録し、これまたトップでセカンドステージを通過、ファイナルに駒を進めたのだ。
そして運命のファイナルステージでユージは、予選3位通過の高橋一樹、2位通過の豊永智大と同組で、予選トップ通過者として優勝を掛けた戦いに臨む。
1球目は左にファウル。2、3球目はフェードでファウル。思わず「ダメだ。力を抜かなきゃ」と漏らすユージ。プレッシャーを感じているのか4球目も左にファウルしてしまうものの、5球目はグリッドイン、最後の6球目も無事グリッドインに成功。
ユージが枠内に収めることができた2球のうち、最長記録は309ヤード。1位には8ヤード届かず、3位という結果に。
ファースト・セカンドステージをトップ通過していただけに悔しさも残るが、ドラコン競技に挑戦して2年目ということを考えれば十分に快挙と言える結果。317ヤード飛ばし、1位となった池田一耶もユージに賞賛を送る。
「ユージさんには予選から大きな差をつけられ、ずっとその下で耐えてきたので、決勝は吹っ切れて『ただ振るだけだ』という気持ちで戦えたのが勝因です。次は、今回のユージさんのように“受けて立つ”側でまた勝負をしたいですね」(池田)
ユージ自身は躍進のきっかけをこう振り返る。
「実は、去年の決勝大会で1球もグリッドインできずに敗退したことの反省から、その後アプローチのレッスンを受けたんです。それによってショット全般のミート率が良くなり、それがドライバーショットの安定にも繋がりました。最終ラウンドでも1、2球目をファウルしたけれど、3球目以降は『普通に打てば良いんだ』と自分に言い聞かせた結果、最後の5、6球目がグリッド内に入ってくれたので3位になることができました」(ユージ)
そしてウィメンズディビジョンに出場していたユージの師匠・高島早百合もユージの健闘に舌を巻く。
「初めて見たユージさんのスウィングは典型的はアウトサイドイン軌道でした。これをインサイドアウトの軌道にすることに取り組んできましたが、一年かけて徐々に改善されて、球が安定してきたと思います。今後ユージさんがさらに上を目指すために、クラブのフィッティングなどスウィング以外の点をチェックしていきたいと思います」(高島)
“芸能界一の飛ばし屋”という称号を求め、ドラコンに挑んだユージだが、今後は日本のトップ選手のひとりとしてドラコン界を引っ張る存在に一気に躍り出た。ドラコン選手ユージの今後の活躍にも要注目だ。