国内女子ツアーは11日開幕の「伊藤園レディス」を含めて残り3試合。最終戦の「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」は今季の優勝者などに出場者が限定されるため、シード争いは事実上残り2試合に絞られている。来季のシードが与えられるのはメルセデスランキング(MR)50位まで。また、MR51~55位の選手には来季前半戦(第1回リランキングまで)の出場権が与えられるため、一発勝負のQT行きを回避できる。2つのボーダーライン上にいる選手たちにとっては、来季の戦い場所を確保する大事な2週間となる。
山下美夢有、西郷真央、稲見萌寧らの年間女王争いが注目されるいっぽうで、同じように熱い戦いとなるのが、MR50位、MR55位を巡る争いだ。現時点では2013年からシードを維持している穴井詩が47位、川岸史果が50位、河本結が52位、有村智恵が55位、葭葉ルミが56位と優勝経験のある選手たちがボーダーライン上にひしめいている。
いっぽう、ルーキーでは小倉彩愛が49位、桑木志帆が51位、竹田麗央が57位に位置している。9月中旬には40位までMRを上げていた小倉は「少し余裕ができたと思っていた時期もあったんですけど、終盤になるとボーダーライン付近の選手がポイントを取ってきますね」。初めてのシード争いに多少の焦りは感じつつも、大会前日の練習では明るい表情が目立った。
小倉と同じプラチナ世代の安田祐香はMR53位。残り2試合の成績次第でシード入りも、QT行きもあり得る微妙なポジションだ。今大会は一昨年45位、昨年12位とまずまずの成績を残しているのに対し、次戦の「大王製紙エリエールレディス」は2年連続の予選落ち。「苦手ではないですけど、来週のコースはあまり相性が良くないので……」と今大会にかける思いは強い。シーズン中に契約メーカーが新モデルのドライバーを発表し、使用した選手が次々に優勝を飾っているが、安田は旧モデルを継続して使用中。「スパッと替えられるのは上位の選手だからなのかな。もともとじっくり打ち込んでからというタイプなので、この時期には替えにくいですね」。慣れ親しんだクラブで55位死守と逆転でのシード入りを狙う。
今回、名前を挙げたなかでは最も厳しいポジションの竹田と50位の川岸の差は約86ポイント。実際のMRは他の選手の成績にも左右されるが、3日間大会の今週なら単独3位以内、4日間大会の次戦なら単独5位以内で逆転シードの可能性が出てくる。まさにボーダーライン上の50位と51位は6ポイント、55位と56位は5ポイントといずれも僅差。たとえ下位に沈んでも予選を通過すれば、状況は変わってくる。
2週前の「樋口久子三菱電機レディス」では大会前までMR70位だった金田久美子が優勝し、MRでもシード圏内の46位に一気に浮上。条件は当然厳しくなるが、下位の選手にも一発逆転のチャンスは残されている。誰が混戦から抜け出し、来季の出場権をつかむのか、ボーダーライン上の選手たちのラストスパートに注目だ。