同ツアーでは11月10日シーズン最終戦のチャールズシュワッブ選手権が開幕。出場を許されるのは今季活躍した33 名のみ。現時点でポイントランク5位のランガーにはチャールズシュワッブカップ=年間王者獲得のチャンスはない。
レギュラーツアーのフェデックスカップ(年間王者争い)は最終戦で上位にゲタを履かせるハンディ戦のためツアー選手権の優勝者が年間王者に直結するがチャンピオンズツアーは最終戦のポイント配分が目立って大きいわけではないのでタイトル争いは今季4勝のスティーブン・アルカーと3勝のパドレイグ・ハリントン2人の争いになる。
これまでの15シーズンで6度年間王者に輝いているランガーの7度目の戴冠はなし。それでも最終戦で優勝すればアーウィンの持つ歴代最多勝に並ぶことができる。
タイガーがサム・スニードの82勝に並んだのは3年前のZOZOチャンピオンシップでのこと。52歳で82勝を挙げたスニードの最多勝記録に当時43歳のタイガーが並びかけ大きな話題に。そして今年もしかしたらランガーがシニア最多勝に並びかけるかもしれない。
「(ツアー最多勝に)かなり近づいているね。自分はもう年なので残された時間はあまりない。記録に挑戦できるのはあとせいぜい2、3年かな」というランガーだが“ドイツの貴公子”と呼ばれた若かりし日と体型は全く変わっていない。ステディなプレースタイルもマスターズ2勝を挙げた頃と変わらず50代の若手(シニアでは)に引けを取らない。
シニア入りしてから15シーズン、毎年欠かさず1勝以上を挙げ賞金王に輝くこと11回。メジャー11勝でシニアの5大メジャーを制覇しグランドスラムを達成した唯一のプレーヤーがランガーだ。
そして何より驚くのが優勝44回に対して2位が40回だということ。現役時代の獲得賞金の3倍をチャンピオンズツアー入りしてから稼いでおり、その額年間王者のボーナスなどを含めると4200万ドルというから60億円以上を稼いでいることになる。
10代でプロデビューした頃は旅から旅への生活が辛く「何度辞めようかと思ったか」と語ったことがある。「キャディバッグ、スーツケースの他に練習ボールも自前で旅に持参しなければならない時代だった。孤独だったしタフだった」
しかし欧州ツアーでは同世代に恵まれた。セベ・バレステロス、ニック・ファルド、イアン・ウーズナムらの活躍に刺激を受け歯を食いしばって頑張った。その甲斐あってマスターズで優勝。80年代の欧州全盛期をライバルと牽引。パッティングのイップスを3度克服した精神力の持ち主でもある。
セベは若くして他界。ファルドは早々とチャンピオンズツアーから撤退。これだけ息の長い活躍を続けているのはランダーだけ。シニア界のタイガーこと鉄人ランガーの凄さはライバルたちが一番よくわかっているのだろう。