国内女子ツアー「伊藤園レディス」最終日、2打差を追って単独2位でスタートした山下美夢有が強風で上位陣のスコアが伸び悩むなか、1バーディー、ノーボギーと安定したプレーを見せ、逆転で今季4勝目を飾った。

「伊藤園レディス」の優勝で山下美夢有は年間女王のタイトルも獲得。賞金女王に代わり、今季からツアーナンバー1を決めるタイトルとなったメルセデスランキング1位争いは2試合を残しての決着となった。

画像: 今季4勝目を飾り、年間女王を決めた山下美夢有。ツアー史上最年少女王が誕生した(写真は2022年伊藤園レディス 撮影/大澤進二)

今季4勝目を飾り、年間女王を決めた山下美夢有。ツアー史上最年少女王が誕生した(写真は2022年伊藤園レディス 撮影/大澤進二)

注目の最終日は最終組の3人が15番を終えて、12アンダーで首位に並ぶ混戦となった。ここから最初にスコアが動いたのは首位スタートの上田桃子。16番パー4のティーショットを右の林に打ち込むと、4オン2パットのダブルボギーで大きく後退した。続く17番パー3では初優勝を狙った岸部が痛恨のボギー。大詰めでついに単独首位に立った山下も最終18番パー4で3メートルのパーパットを残したが、これをねじ込み、渾身のガッツポーズで自らの優勝と年間女王を祝った。最年少の賞金女王は2007年の上田の21歳156日。記録保持者との優勝争いを制し、山下が21歳103日のツアー史上最年少女王となった。

今季の山下はトップ10入りが20回(出場31試合)でツアー1位。出場4試合で3度トップ10入りの古江彩佳を例外とすると、トップ10率64.52%もツアー1位。優勝回数では西郷真央の5勝に現時点で届いていないが、常に上位で戦う安定感で上回った。そんな山下もシーズン序盤には初のディフェンディングチャンピオンとして迎えた「KKT杯バンテリンレディス」から3試合連続の予選落ちを経験した。精神的にも苦しい時期だったが、コーチでもある父・勝臣からアドバイスとともに「3試合ぐらいで何をメソメソしているんだ」と叱咤激励を受けると、直後の公式戦「ワールドレディス サロンパス杯」では今季初優勝。その後の予選落ちはわずか2試合だった。

画像: 出場31試合でトップ10入りが20回と安定した成績を残してきた山下(写真は2022年伊藤園レディス 撮影/大澤進二)

出場31試合でトップ10入りが20回と安定した成績を残してきた山下(写真は2022年伊藤園レディス 撮影/大澤進二)

山下が文句なしの成績を残したことは間違いないが、いっぽうで女王争いが2試合を残して決着してしまったことは少し残念でもある。賞金女王争いとは違い、ポイントレースは制度次第で最終戦までもつれこませる方法があるからだ。例えば、米男子ツアーは最終戦の前までポイントランク1位だった選手が10アンダー、2位だった選手が8アンダー、3位7アンダーとハンデをつけた状態からスタート。そのうえで優勝者を年間王者としている。米女子ツアーも上位60人で争う最終戦の優勝者をポイントレースの“チャンピオン”と呼んでいる。JLPGAの小林浩美会長は「米国の例を参考に検討しています。それぐらいしか言えないけど、検討はしています」としており、少なくとも制度変更に否定的ではない様子。最後まで女王争いが盛り上がる改革なら、ファンも大歓迎ではないだろうか。

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