これから寒さが厳しくなる季節。コースに着いても、「なかなかハウスから出たくない」「朝の練習場は寒いから行きたくない」なんて気持ちになってしまうこともあるでしょう。
そもそも、コースに練習場がなかったり、スタートまで時間がなくてボールを打つ時間がない、というケースもあるはずです。それでも、怪我なく、スムーズにプレーを始めるために、最低限やっておくべきことは何か? 今回はそんなテーマで考えていきたいと思います。
スタート前にしっかり体を温めておくのは、怪我の予防のためにも大切です。まずはウォーミングアップについて。
「スタート前にストレッチをしっかり」という方、特にアスリートゴルファーに多いかと思いますが、関節や筋肉を伸ばす『静的ストレッチ』はウォーミングアップという目的には、あまりフイットしていないように思えます。ウォーミングアップはその名のとおり、これから体を動かすために筋肉を暖めていくこと。静的ストレッチよりも、たとえばラジオ体操のように、少し脈拍が上がるくらい体に負荷をかける運動をしたほうが、スタート前の準備としては有効といえます。
参考までに私が実践している『5分で出来るウォーミングアップ』を紹介しましょう。
まずは、皮膚が薄くて、温まりにくい、『3首』からスタートします。
①首回り、足首、手首のいわゆる『3首』をしっかり回して温めます。
②アキレス腱伸ばし。ここを刺激すると血行が良くなり、体が温まりやすくなります。
③膝の屈伸や開脚で下半身をほぐし、直立してのジャンプか、カカトの上げ下げを行います。
④こぶしをわきの下において、ひじを前から後ろ側に回して肩甲骨をほぐします。
⑤手を腰に置いて体を真横に傾け、体側を伸ばします。
この後も余裕があれば、スクワットを10回から20回。両方の手のひらを開いたり閉じたりをゆっくり20回。ここまでやれば、かなり筋肉が温まり、準備OKです。
もう一つおすすめしたいのは、胸郭のストレッチです。大きめのタオルを背中からわきの下へ通し、両手でタオルの端を斜め上に持ち上げ、上体をそらした状態で左右に揺さぶります。これを10回。その後、タオルを腰の位置に移して同じ動きを10回。これを行うと、胸椎の関節がほぐれ、クルマの運転やスマホの操作などで猫背になりがちな姿勢を矯正することが出来て、体に負担の少ない、無理のないいポスチュアを作りやすくなります。特に長距離を移動してからのラウンド前に行うと、腰痛の予防や、疲れの軽減に役立ちます。
次にやりたいのは、「連続素振り」です。目的はゴルフスウィングに必要な筋肉、関節をほぐし、ラウンドに備えるということですから、クラブの重みに任せた「連続素振り」がおすすめです。クラブは重みのあるショートアイアン。フィニッシュの位置から逆戻しに反動をつけて連続でクラブを振ります。このとき、腕だけに頼らず股関節と肩甲骨をダイナミックに動かし、クラブの重みに任せて体を揺さぶるイメージで振るのがポイントです。時間のないときはこの「連続素振り」だけでもやっておくとよいでしょう。
もう一つ、どうしてもやっておきたいことは、「パット練習」です。ただし、時間に余裕のないときはカップを狙わないこと。入る、入らない、といった結果を気にしてしまうと、余計な不安や期待が心に残り、雑念を生むだけで、逆効果になってしまいます。目的は、グリーンのスピードをつかむこと。10メートルくらいの距離を自分のイメージで転がしてみて、そのイメージとのギャップを認識し、修正する。タッチが確認出来ればスタート前の準備としては十分です。
以上、短時間で出来るスタート準備。参考にして頂ければ幸いです。