先日のVISA太平洋マスターズで、3年ぶりの優勝を飾った石川遼。その手には見慣れぬブレード型のパターがあった! 週刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウがレポート。

こんにちはケンジロウです。最終戦の日本シリーズが終わり、男子ツアーも2022シーズンが幕を閉じました。以前にも書きましたが、今年は一気に世代交代が進んだ感がありますよね。最終戦の日本シリーズも、初出場の若手選手がたくさんいて、だいぶフレッシュな感じがしました。

今回はその日本シリーズで、最終日に5アンダーを出して5位タイに入り、賞金ランキング10位でシーズンを終えた石川遼のお話です。石川遼も31歳となり、気づけば“中堅選手”といってもいいポジションになりました。勢いのある若手を迎え撃つべく、昨年からスウィング改造に着手して、だいぶ完成に近づいていると本人は言っていますが、石川遼がこの位置にいられるのは、なんといっても、ショートゲームの技術の高さゆえでしょう。

グリーンを外しても絶妙なアプローチで寄せてパーを拾う、際どい5~10mのバーディパット、パーパットを沈めてくる、そんなシーンを今年は数多く見ました。VISA太平洋での優勝も、ショットでねじ伏せたというよりは、ショートゲームの質の高さあってこそだったように思えます。日本シリーズ最終日の17番のイーグルパットも圧巻でしたよね。13メートルのフックラインを見事にカップのど真ん中から沈めました。

トウバランスのブレード型パター

さて、もう気づいている方も多いかもしれませんが、石川遼は10月の終わりごろから長年使ってきたパターを替えています。元々はL字マレットの「プロタイプiX #9HT プロトタイプ」を使ってきましたが、今使っているのは同じオデッセイの「TRI-HOT 5K THREE」というブレードタイプのヘッド。石川遼といえば「L字」のイメージが強いので、ピン型のブレードタイプはとても新鮮です。実際にその新しいパターでVISA太平洋で優勝しましたから、悪くないんでしょうね。

画像: オデッセイのL字マレットを使う印象の強い石川遼だが、10月の終わりごろからブレード型にチェンジ

オデッセイのL字マレットを使う印象の強い石川遼だが、10月の終わりごろからブレード型にチェンジ

ではなぜ、長年親しんできたパターを替えたのか? HEIWA PGMでパターを替えた直後は「気分転換」と言っていましたが、気づけば最終戦までずっとバッグに入っていました。新しいピン型の良さを、本人に聞いてみました。

「指でシャフトを支えてバランスをとったときに、マレットだとちょっとトウが下がりますよね。通常のピンタイプだと45度ぐらいトウが下がる。僕が前に使っていたL字はもっと下がります。でも、このパター(TRI-HOT 5K)はそれよりさらに下がる。もう90度に近いですよね、ほら」(石川遼)

そう言って、石川遼は人差し指1本でシャフトを支えてヘッドのトウ側の傾きを説明してくれました。確かに、石川が支えているパターのヘッドはトウ側が地面に向かって垂れ、明らかに“トウバランス”なのがわかります。一般的にトウバランスのパターのほうが、フェースを開閉させて打つイメージの選手に合うといいますよね。昔からL字マレットをこよなく愛して使ってきた石川遼もその手のタイプということでしょうね。

画像: トウ側が90度近く下を向く「TRI-HOT 5K THREE」。石川のストロークイメージに合うようだ

トウ側が90度近く下を向く「TRI-HOT 5K THREE」。石川のストロークイメージに合うようだ

「僕からするとこのヘッドはトウ側の動きがフリーに動いてくれるからいいんです。元々僕はトウの下がるパターのほうがイメージが出るんですよね。それでいてヘッド自体の安定感があって、そこが凄い不思議なパターでして、なんでなのかよくわからないんですけどね(笑)。重心が前にあるのかな? でも、ヘッドの動かしやすさが、いちばん自分に合っているんじゃないかなと思っています」(石川遼)

このパター、モデル名は「TRI-HOT 5K THREE」。5Kとは5000の意味で、慣性モーメント(MOI)の大きさを表しているとか。トウバランスで操作性に長けている一方で、ミスヒットに強い寛容性があるヘッド。なんか相いれないものが両立しているようなパターですね。テーラーメイドのトラスパターにも近いのかな。ちなみに、このTRI-HOT 5Kのワイドモデルを上田桃子が使用しています。

石川遼は来シーズン、L字型に戻るのか、ピン型でいくのか、はたまたまったく違うモデルでいくのか、今から気になりますね。

撮影/姉﨑正

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