「ZOZOチャンピオンシップ」のドライビングレンジで練習していたザンダー・シャウフェレにトラックマンで計測させてほしいとお願いすると快諾。プロゴルファー、トラックマンマスター、TPIレベル3を持つ三刀流プロの小島慶太に解説してもらおう。

プロゴルファーで、トラックマンマスターとタイトリストフィッティングスペシャリスト、TPIレベル3をもつ三刀流プロ・小島慶太が「ZOZOチャンピオンシップ」の練習場でザンダー・シャウフェレと交流する機会に恵まれた。

画像: 2022年シーズン3勝を挙げZOZOチャンピオンシップでは最終日に追い上げ9位で終えたザンダー・シャウフェレ(写真は2022年のZOZOチャンピオンシップ)

2022年シーズン3勝を挙げZOZOチャンピオンシップでは最終日に追い上げ9位で終えたザンダー・シャウフェレ(写真は2022年のZOZOチャンピオンシップ)

ザンダーはボールの正面に置いて計測するカメラ式のGC4を使って何やらデータを見ながら練習していたが、小島が後方にトラックマンを置かせてもらうと、ザンダーは、打つたびに両方のデータを見ながら「もう少しだな」と言いながら練習を進めていた。

「ザンダーの5番アイアンのトラックマンデータを見ると、ボール初速63m/s、キャリー210ヤード、入射角は5番アイアンにしてはやや大きくて平均7度くらいダウンでした。もう一つクラブ軌道はインサイドアウト2度でフェース向きは1度オープンというクラブ軌道に対して1度クローズで曲がり幅の少ない軽いドローボール打っていました」(小島慶太、以下同)

画像: 5番アイアンでも7度のダウンブローで打つことで、スピンの効いた弾道になりPGAツアーの硬く速いグリーンでもボールを止められる(写真は2022年のZOZOチャンピオンシップ)

5番アイアンでも7度のダウンブローで打つことで、スピンの効いた弾道になりPGAツアーの硬く速いグリーンでもボールを止められる(写真は2022年のZOZOチャンピオンシップ)

178センチとそれほど高くない身長でありながら、5番アイアンの入射角が7度ダウンというのはグリーンで止められるだけのスピン量を確保するためであろう。「切り返しからしっかりと左に踏み込んで左手の甲がターゲットを向き、ハンドファーストでボールを押し込むようなインパクトができているから」だと小島はいう。

フェースがボールに直に当たるソリッドコンタクトな音とその直後に地面に当たり芝を削る音と振動が何度聞いていても同じ音がしていいて、再現性の高さを強烈に印象づけられた。5番アイアンで7度ダウンの入射角ではあったが、短い番手になると入射角がスティープになる選手が多い中、短い番手でも同じくらいの入射角でスティープ(鋭角)過ぎるようなことはなかったこともザンダーの特徴の一つだ。続いてドライバーではどんなデータが見られたのだろうか。

「ドライバーの入射角はアッパーでもダウンでもなくほぼ0度、スピン量は2600rpm前後、打ち出し角8.5度、ボールスピードは80m/s、フェーストゥパスはクラブパス2度インアウトに対して1度クローズで毎回同じ同じような数値が並びました」

ドライバーの特徴は、入射角がほぼ0度であるため打ち出し角が低い点。アッパー軌道であればダイナミックロフトは寝るケースが多く、打ち出し角も高くなる傾向にあるが、クラブ軌道の最下点付近でインパクトしているから入射角は0度に近くなり、ダイナミックロフトも寝にくくなっていた。

画像: 入射角はほぼ0度とクラブヘッドの最下点付近でレベルにインパクトをするザンダー・シャウフェレ(写真は2022年のZOZOチャンピオンシップ)

入射角はほぼ0度とクラブヘッドの最下点付近でレベルにインパクトをするザンダー・シャウフェレ(写真は2022年のZOZOチャンピオンシップ)

ボール初速80m/sとこれも驚くほど速い数値だ。今季のドライビングディスタンス1位で315.74ヤードの河本力で82m/s前後というから、ヘッドスピードだけでなくフェースの芯でとらえる技術や再現性の高さもトラックマンデータから読み取れた。

アイアンからドライバーまで、計測したデータを小島は、どの番手もフェーストゥパスがほぼ同じ数値で、しかも安定していると分析する。

「スウィングダイレクションといわれるスウィングの面がターゲットに対してスクェアである場合、ダウンブローで入るアイアンはインサイドアウト軌道になり、クラブの最下点を過ぎてアッパー軌道で当たるドライバーの場合は、アウトサイドインの軌道になります。ですが、ザンダーの軌道やフェーストゥパスは短い番手からドライバーまでほぼ同じ。ドライバーではスウィングの面をほんのわずかに右に向け、短い番手ではインサイドアウト軌道になり過ぎないように面を左に向けることで、一定のフェーストゥパスを実現しているのだと思います」

フラフープをアドレスしたシャフトと同じ角度で斜めに地面に置き、地面と触れる最下点にボールがあるとイメージすると理解しやすい。フラフープに沿ってダウンブローで入るアイアンの軌道はインサイドから入り、最下点を過ぎてアッパーで軌道で当たるドライバーはアウトサイドインの軌道になる。フェードが持ち球であれば、弾道を揃えるためにはアイアンのときにややアウトサイドインの軌道になるように、例えばスタンスの向きや体の向きを左に向けるなどの調整をしてスウィングの面を左に向けるアジャストが必要になる。

ザンダーの場合は、ドライバーの入射角は0度に近く、クラブ軌道のほぼ最下点でとらえていることからスウィングの面をわずかに2度右に向けて、フェース向きは1度オープンにそろえることで曲がり幅の少ない安定したドローボールを打ていると小島は分析した。

トミー・フリートウッドのトラックマンデータを分析した際にも気が付いたことだが、ドローが持ち球でも曲がり幅の少ないストレートに近いボールを打っていた。それはインサイドアウトのクラブ軌道に対してフェース向きの差(フェーストゥパス)はわずかに0.4度や1度未満というデータにも裏付けされている。

2022年シーズンは3勝を挙げ、ZOZOチャンピオンシップの最終日に65を叩き出し9位で終えたザンダー・シャウフェレ。その強さの秘密は入射角とフェーストゥパスが安定していることがショットメーカーたる所以といえるだろう。

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