アマチュアゴルファーにとっての主な練習環境は打ちっ放しやインドアスタジオだろう。そして練習とラウンド時とで、明確に使う道具が変わるものがある。それがボールだ。
インドアスタジオなら場所によってはマイボールを使えることもあるだろうが、少なくとも打ちっ放しに関してはマイボールは基本的に使用不可。となると、普段の練習に加えてコースで使用するボールの感触に慣れる機会を作る必要があるな、と考えたことがあるゴルファーも少なくないだろう。
プロゴルファー・兼濱開人は「そもそもコースで使うボールと練習用のボールの違いがわかり、それに合わせて『どう練習しよう』という思考が生まれている時点で、かなりグッドゴルファーと言えるでしょう」という。
「実際プロはゴルフクラブの刃先でボールに触れるだけでも、手に伝わる感触や音でボールの硬さや自分にとっての良し悪しの判断ができるもの。もしあなたがなんとなくでも違いに気付いたのだとしたら、それを意識した練習を取り入れたほうがいいですね」(兼濱、以下同)
そもそも練習用のボールは市販のゴルフボールに比べ、軟らかく飛距離が出づらいように作られている。「なので基本的に練習場でのショットより本番のほうが飛距離が出ると考えてください」と兼濱。「そして一番大きな差と言えるのが、打感ですね」と続ける。
「なかでも一番打感の差が出るのは、パターやウェッジを使ってのアプローチです。ショートゲームではとくに打感やボールの性能、それによる感触の違いが直に出ますね。パターの場合はマイボールの硬さに合わせてインサートの有無を選んだり、逆にマイパターのインサートに合わせてボールの硬さを選んだりと、道具選びにも影響してくるほどです」
そしてマイボールの感触に慣れておくためにはズバリ「パット練習で使うボールを、コースで使うボールと一緒にすること。それに尽きますね」と兼濱は言う。
「お家でパターマットを使って、コースで使うマイボールに普段から触れておくのがいいでしょう。パターマットがあれば3ヤード以内……1ヤードキャリーするくらいの本当に短いアプローチ練習もできると思います。ボールに乗る感覚・弾く感覚は、極端に短い距離のアプローチでもちゃんとわかりますので、ぜひやってみてください」
もちろん兼濱が教えてくれた練習はそれ自体が有効だが、もしまだマイボールと練習用ボールの差が曖昧なら「特別意識する必要はないですよ」と兼濱。
「ボールの感触って、自分の中で感覚が養われて違いがわかるようになるのが自然ですからね。ただ、いろんなボールを試すなかで『このボールが好きかも』と感じたら、ツアー系であろうがディスタンス系であろうが自分が好き・気持ちいいと思った感覚は尊重したほうがいいです。硬さや打音はもちろん、単純に色がかわいいとかでもいいので『このボールが好きだな』と何かしらで感じたら、それをマイボールとして一通り使ってみましょう。マイボールを1つに定めることで、自分に必要なスキルがわかってきて、次に自分のスキルが上がればそれに応じて必要なボールが変わってくる……という成長のサイクルを生み出せますからね。『私なんかがまだボールにこだわる必要なんて……』と思って、自分で得た気づきを捨てることになるのはもったいないですよ」
協力/レッツゴルフ銀座