日本から35時間近くかかって、地中海に面したスペンインのラ・マンガクラブに着きました。来年の欧州女子ツアー(LET)に出場するための最終予選会(Qスクールファイナル)に識西諭里のコーチ兼キャディとして帯同しています。
パー71のノース、パー73のサウスと2つのコースを2日間づつプレーし、予選カットを経て5日目の最終日に順位が決まります。昨日は練習ラウンドではかなり風が強く、気温は20度くらい、コースは比較的フラットでフェアウェイも狭くなくラフも長くはありませんが、池がらみのホールが多い設計です。風が吹かなければ難しいレイアウトではないと思いますが、地中海に面した海の近くのコースなのでこのくらいの風は当たり前なのかもしれませんね。
LETから事前にグリーンの状態が悪いというメールが届いていました。日本の河川敷のグリーンのような感じの転がりで、幾つかのホールではグリーン面の傷んだ部分を避け無罰で同距離に動かせるというローカルルールが適用されるようです。速さは8フィートくらいで、固さもやわらかいのでアイアンではピンまでの距離を打っていく、UTでもランは4歩以内には止まる感じです。風とグリーンのコンディションとの戦いになりそうです。
米女子ツアーのQシリーズと欧州女子ツアーの予選会は「プロテストのためにゴルフをやっているわけではなく、プロゴルファーとして世界のどこかに自分を表現できる場があるなら、そこで戦いたい」という戦いの場を見つけるための挑戦でもあります。
識西諭里は、米女子ツアーのQシリーズを最後まで戦えた満足感とツアーカードが取得できる45位以内に入りたかった悔しさの両方の思いを抱えています。彼女が今、一番渇望しているのは「戦いたい」という気持ちです。
米女子ツアーのQシリーズファイナルに進出したことで、下部ツアー(エプソンツアー)の出場権は確保できている安心感はありますが、実は本当に狙っていたのはLETでの出場権獲得です。ここで上位で終えられれば欧州を主戦場にして、空き週にエプソンツアーに出場しようという狙いです。
識西は、全米女子オープンとQシリーズに出場してきた経験から、飛距離やショットの精度などは戦えないことはないですが、優勝できるか、優勝争いをして上位で争うことは簡単ではないと理解しています。私はコーチとして、識西はLETであれば優勝争いや上位で戦えるレベルにあるので、勝ちを意識しながら戦える、足りない部分をレベルアップしたりスキルアップする場には丁度いいフィールドだと思っているので、自信をつける意味でも戦う場を選ぶというのは大切なことだと思います。
彼女は6年間プロテストに挑戦してきた間に戦うことすらできなかったことで、戦える場があるなら毎週でも戦いたいと渇望しているのです。ここで上位で終えられると来季の初戦はケニヤ、2戦目はモロッコですが、識西は行く気満々なんです。
プロテストのためにゴルフをやっているわけではない
「プロテストのためにゴルフをやっているわけではない。プロゴルファーとして生きたいから、この人生を選んだ」という彼女の意思には非常に共感します。日本のプロテストだけに縛られずに戦う場を求めて米欧で挑戦する彼女は紛れもなくプロゴルファーですし、プロゴルファーとして生きようとしている姿に応援したくなります。
上位20位以内に入ることが目標ですが、45位以内で終えられれば10試合以上は出場できそうです。飛行機代など遠征費は大変ではありますが、サポートしてくれる周囲に感謝しつつ、プロゴルファーとして戦う識西諭里の姿を見ていただけたら嬉しいです。
地中海に面した地域ということで到着した日にパエリアを食べましたが、意外と大味で日本で食べたほうが美味しかったような気がしましたね(笑)。5日間上位20位以内を目指して、頑張ってきますので、応援よろしくお願いします!
写真提供/井上透