シャフトのキックポイントは大きく分けて先調子、中調子、元調子の3種類がある。今回はシャフトの中央付近にキックポイントが設定されている中調子シャフト人気の2モデルと注目の最新モデルをゴルフステージ成城のクラブナビゲーター・吉田朋広が検証してみた。

自分のスウィングにあったシャフトを選ぶ際の目安にもなり、性能を決める要素のひとつに挙げることができるキックポイント。中調子シャフトはキックポイントがシャフトの中央付近に設定されているシャフトですが、シャフト中央部分の5センチ前後で少し先端側に設定されていると中先調子、少し手元側に設定されていると中元調子というように非常に多くのシャフトが存在するカテゴリーでもあります。

今回は分かりやすくカタログにはっきりと「中調子」と明記してあるシャフトをピックアップして検証させて頂きます。

2022年、一番売れたシャフト「スピーダーNX」は?

「スピーダーエボリューション」シリーズから次世代モデルへとチェンジして2021年10月に発売されたフジクラ「スピーダーNX」。「スピーダーエボリューション」シリーズは一部のモデルを除くと先が走るシャフトというイメージを持っているゴルファーも多かったと思いますが、フルモデルチェンジした「スピーダーNX」は中調子のシャフトで登場しました。

シャフト振動数は255cpmで手元から中間部にしっかり感があり、先端部分は少し動くシャフトです。シャフト全体のしなりが素直でスウィングのタイミングにシャフトが同調してくれるイメージがあります。タメをつくるのが苦手な方でもタイミングは取りやすく感じるので適正なフレックスを使って頂ければ気持ち良く振り抜くことができますいっぽうでタメをつくるのがうまい方にも頼りなさがない設計になっています。あまりスウィングタイプを選ばない手元側の設計はNXの特長のひとつになるでしょう。

もうひとつの特長を挙げるとしたら先端部分の動き。中調子らしく先端部分は走りすぎずにほどよく動き、やや高めの打ち出しをキープできます。先端部分の動きはボールのホールド性も生み出し、右へのミスも防ぎやすいと思いますしなり戻りはスピーダーの名にふさわしいスピード感、インパクトで暴れる気配はありませんのでイメージ通りにインパクトできるのでミート率も高くなるでしょう。

画像: これは迷う人も多いはず。「スピーダーNX」と「スピーダーNX GR」の違いは?

これは迷う人も多いはず。「スピーダーNX」と「スピーダーNX GR」の違いは?

そして2022年10月に発売したのが「スピーダーNX GR」。ネーミング通りのグリーンの外観が目を引く「GR」は「NX」と同じ中調子ながらシャフトのフィーリングが結構違いますね。「NX」を打った直後に打ってみると「結構しっかりしている」と思いました。シャフト振動数は同じ255cpmですが、手元の剛性は明らかに「NX」よりも上がっていてハリを感じます。切り返しで強めに負荷をかけるタイプの方に合わせて設計された感じです。

手元側から中間部にかけてやや剛性を落とし、硬めの剛性の先端部と中間部の剛性差でシャフト先端側の動きを出しています。その先端側の動きでボールつかまえてくれるところはさすがスピーダーといった感じですね。振っていくうちにあまりしなりを感じさせない動きが心地よく感じてきます。レスポンスが非常に良く、一体感があるシャフト挙動ですので反応の良いシャフトを求める方にもいいでしょう。先端部分の剛性がしっかりしていますのでインパクトで叩いていく方でも当たり負けしません。効率的なインパクトは高いボールスピードを実現できるでしょう。

同じ中調子を謳っていても「NX」は先端部が自然にしなり、ボールがつかまる方向に動くのに対して「NX GR」はその部分をやや抑えた感じです。
「NX GR」は自分のスイングでシャフトをコントロールしたり、しっかり叩いていってもボールの吹け上がりのないアスリート系シャフト寄りの設計の要素を取り込んだ中調子シャフトに仕上がっています。「NX」だと少し物足りないという方や本格的アスリートシャフトだとハードだけど少ししっかりしたシャフトが良いという方に合うと思います。

発売されたばかり「THE ATTAS V2」も検証

2022年12月16日発売のUSTマミヤ「THE ATTAS V2」。ATTASシリーズの集大成として発売された10代目のモデル「THE ATTAS」の進化版として発売されたのが「THE ATTAS V2」です。プロにも多くの使用者がいる根強い人気の中調子モデルの進化バージョンはどんな感じなのかチェックしてみました。40グラム台から70グラム台まで用意してありますが今回は「6S」と「5SR」を検証します。

振ってみるとやや緩めのフィーリングの「THE ATTAS」に比べてしっかりしたように感じます。各部に遊びが少なくなってシャープさが加わっている感じです。手元側はややしっかりした印象ですが、剛性はそれほど高くなく、切り返しのしにくさはありません。
先端部分も「THE ATTAS」よりもしっかりしており、高慣性モーメントヘッドとのマッチングでも当たり負けない設計になっていますが、ボールのとらえにくいことはありません。パリッとしたフィーリングではありませんが、全体的に緩さが消えてしっかりした仕上げになっています。

挙動はクセのない中調子シャフトらしく様々なスタイミングに合わせやすい印象で、プレーヤーのイメージ通りに動かしやすくフェードやドローのコントロール性は良いと思います。打っていて感じたのは「芯のとらえやすさ」。表現として間違っているかもしれませんが、多少雑に振ってもインパクトを合わせやすく、芯に当てやすくミートしやすい印象があります。しっかり芯をとらえる事ができるのでバックスピン量も多くなりにくく、ボールスピードもアップします。
「6S」は66グラムでシャフト振動数259cpmでアスリートゴルファーにも物足りなさを感じずに使って頂けますし、ある程度パワーのあるアマチュアゴルファーの方にもオススメです。基本的にボールのつかまりは良いシャフトですので左が気になる方は硬めのフレックスを選ぶと良いでしょう。

「5SR」は55グラムで振動数は241cpm。スイングスピードやタイミングを選ばないシャフト挙動ですので幅広いターゲットの方に使いやすく、なめらかでスムーズな振り心地は「クセがない中調子シャフトってよくわからない」という方にも中調子シャフトのイメージを体感しやすいでしょう。
多くのヘッドとのマッチングも良いのでシャフト選びに迷っている方は一度試してみてはいかがでしょうか?

画像: 発売されたばかりの「THE ATTAS V2」は6Sと5SRを検証

発売されたばかりの「THE ATTAS V2」は6Sと5SRを検証

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