松山英樹がバッグインし、海外メジャー「マスターズ」を制覇する一助となった「スリクソン ZX」シリーズ。その後継作にあたるのが「スリクソン ZX MkⅡ」シリーズだ。
ドライバーは3モデルラインナップされており、前作とは異なりフルチタン構造を採用。たわみを生むヘッド構造「リバウンドフレームMkⅡ」といったテクノロジーは前作をブラッシュアップさせたものとなっているが、まずZX5 MkⅡを構えたプロゴルファー・堀口宜篤は「前作と比べてまったく印象が違いますね」と堀口は言う。
「前作はカーボンクラウンでしたが、Mk2はフルチタンで締まった感じがしますね。オーソドックスな洋ナシの形状で、別段グースがあるわけでもなく、スッキリとして構えやすい見た目です。ソールを見ると、最後方部にウェートが搭載されていて、球の上げやすさがありそうですね」(堀口、以下同)
ではさっそく試打を行ってもらおう。ロフト10.5度のヘッドに「ディアマナ ZX-Ⅱ 50」のSフレックスシャフトを組み合わせたモデルで試打を行った際の平均データと、インプレッションは以下の通りとなった。
【堀口のスリクソンZX5 MkⅡの試打結果】
HS44.7m/s キャリー233.7Y トータル255Y 打ち出し角14.8度 ボール初速63.6m/s スピン量2545rpm
「圧倒的に初速性能があって、そこまで芯を喰わなくても初速が出てくれる感じがあります。そして高さもめちゃくちゃ出ますね。ヘッド自体は適度につかまる感じで、逃そうと思えばしっかり反応してくれます。少し弾き感があり、スピンもそこそこ入ります」
打音に関してはスイートスポットに当たったか否かで響きが変わっており「良いショットかどうかを判別できる感じがいかにもプロ好みっぽいですね」と堀口。ただし、アスリート向けに寄った性能を持つスリクソンブランドの中でもZX5 MkⅡは「比較的やさしめな部類」。「ハンディキャップに限らず球がつかまり過ぎちゃう方にはオススメですね」とのことだ。
続いて打ったのは「ZX5 MkⅡ LS」。LS=ロースピンの名の通り、スピン量を抑えた設計となっていて「構えた見た目はZX5 MkⅡとほぼ同じですが、大きく違うのはソールのウェートポジションですね」と堀口。
「ウェートがZX5 MkⅡ LSではフェース側の前面に配置されています。このことからも低スピン性能を高めたモデルであることが読み取れますね。ウェート位置と同様に内部構造も違うのだろうと想像できますが、実際構えた限りでは、ZX5 MkⅡとの見た目上の違いは間違い探しレベルでないですね」
しかしながら、実際に試打をしてみると「見た目からは想像できないくらい、ヘッドの性能が大きく違いますね」と堀口。ロフト10.5度のヘッドに「ディアマナ ZX-Ⅱ 50」のSフレックスシャフトを組み合わせたモデルで試打を行った際の平均データと、インプレッションは以下の通りだ。
【堀口のスリクソンZX5 MkⅡ LSの試打結果】
HS45.8m/s キャリー248.7Y トータル275.3Y 打ち出し角10.5度 ボール初速66.5m/s スピン量2075rpm
「ZX5 MkⅡと同様初速性能の高さを感じますが、LSは圧倒的に球が強いです。スピンが抑えられていて、ヒール寄りにヒットしても増えないですね。それでいて落ちそうで落ちない、もう一押し伸びそうな飛び方をしてくれます。打音はLSのほうが少し弾いているように聞こえますが打感は柔らかく、打っていて吸い付いている感触もありますね」
ヘッド自体のつかまり方はZX5 MkⅡと「そんなに変わらない」というが、球の強さがあるぶん「真っすぐになりやすいですね」と堀口。切り返したときのヘッドが来る感じも違うし、そういう意味では圧倒的にスピン性能が低くされているのがLSだなと言う感じ。
「ZX5 MkⅡと比べると、明らかに振れるゴルファー向けな感じですね。そちらに振り切っていると思います。ウェートが前方にあるぶん切り返しでのヘッドが押し込んでいてくれる感じがあって、そこもパワーヒッターと相性がめちゃくちゃいいポイント。初速性能も高く、低スピンでシンプルな球の強さがあり、中弾道で全然落ちずに球が伸びてくれます」
そして最後に打ったのは「ZX7 MkⅡ」。ヘッド体積は他2モデルが460ccなのに対し450ccとややお小ぶりな仕上がり。そして最大の違いはウェートの位置。トウ側に4グラム、ヒール側に8グラムと重さの違うウェートが2つ配置されており、入れ替えることでつかまりを調整可能に。また、重量が違うウェートが別売されており、さらに細かく変えることも可能となっている。
では、見た目についてはどうだろうか。
「基本的にはZX5 MkⅡと同様ですが、やはり少し小ぶりに見えますね。構えてみるとクラウンの右上側のラウンド具合が少しスッキリしていて、やや洋ナシっぽい感じです。ソール面に関しては本当に違いますね。ウェートが2つあるのと、純正シャフトが60グラム台なこともあって、若干ヘッドも重く感じます」
ではロフト10.5度のヘッドに「ディアマナ ZX-Ⅱ 60」のSフレックスシャフトを組み合わせたモデルで試打を行った際の平均データと、インプレッションを見てみよう。
【堀口のスリクソンZX7 MkⅡの試打結果】
HS46.1m/s キャリー246Y トータル268Y 打ち出し角11.8度 ボール初速65.8m/s スピン量2426rpm
「打った印象をざっくり言えば『球が強いZX5 MkⅡ』という感じでしょうか。ZX5MkⅡよりは球が強くスピン量も抑えられているけれど、ZX5 MkⅡよりはスピンが入ります。スピン量的には3モデルのなかで中間に位置しますね。ある程度スピンが入ってくれるので弾道のコントロールがしやすいと言えます。シャフトは他2モデルと同じタイプですが重量が重いぶんしなり戻ってきてくれる感じがあり、振き切りやすいですね」
強い球を打ちたいけどある程度球筋をコントロールしたり、持ち球の特徴を生かしたい。また自身のスウィングが高さの出やすいタイプで、同じく球の上げやすいZX5 MkⅡを打つと高さが出過ぎてしまう、ゴルファーにもZX7 MkⅡはオススメだと堀口。また「2つのウェートやシャフトを替えて重量帯を調整するだけでもおそらく印象は大きく変わるでしょうし、他2モデルよりもそういった調整のしやすさがあります」という。
さて、3モデルを打ち終えた堀口によればZX5 MkⅡは「球が上がりやすくスリクソンブランドの中ではやさしめで、シンプルな打ちやすさがあるヘッド」、ZX5 MkⅡ LSは「とにかくスピンが少なく飛距離の伸びも期待できる、パワーヒッター向けのヘッド」、ZX7 MkⅡは「少しハードで、スピンが適度に入り操作性があるヘッド」とそれぞれ総括してくれた。ぜひ参考にしてみてほしい。
協力/PGST