まず打ったのはスタンダードモデルという位置づけの「G430MAX」。460ccのやさしい大型ヘッドなのは前作同様で「やはり構えたときの安心感がありますね」と堀口。
「最後方にボリュームのある三角形のような形状で、ヘッド体積が大きく見えます。一般ユーザーを対象として商品を開発しているというのもあって、非常にMOIが大きくて安心感がありますし、シャローでボールも上げやすそうです。ソールを見ると、可変ウェートの動かせる幅が前作より狭まっています」(堀口、以下同)
ではさっそく試打を行ってもらおう。ヘッドはロフト10.5度、ウェート位置はスタンダード、シャフトは「ALTA J CB BLACK」のSフレックスと組み合わせたモデルで試打を行った。試打のデータの平均値と、インプレッションは以下の通りとなった。
【堀口のG430MAXの試打結果】
HS44.9m/s キャリー236.3Y トータル257.6Y 打ち出し角13.6度 ボール初速63m/s スピン量2485.7rpm
「弾道は本当にまっすぐって感じですね。ほどよくつかまえてくれて、寛容性も高いのでヒールヒットでも全然飛ぶし、右に行きません。打感も柔らかく、そして何より良かったのが打音です。打ってボールが出ていくまでの飛び出しと音がすごく合っています。クラウンからソールまでの形状を改良し、サウンドリブも新たに搭載したことによる効果がしっかり出ていますね。ピンの開発担当の方にお話を伺ったことがあるのですが、音に関しては日本からの意見が結構採り入れられているらしく、室内で打っても外で打ってもいい音が鳴るっていうのを目指したそうで、実際前作より打っていて本当に心地いいです」
シャフトについても「ゆったり振っても相性がいいし、速く振っても耐えてくれる感じがあります」とのことで「ヘッドも含め本当に幅広いゴルファーに合いそうです」と堀口。
「ヘッドの安心感と飛距離性能があり、極端でなくほどよくつかまり、ウェートを変えればしっかり効果も出ます。上級者から初級者まで十分使えるスタンダードな性能を持っていますね」
続いて打ったのは「G430LST」。3モデルの中で唯一のカーボンクラウンを採用したモデルで、そのことにより生まれた余剰重量で低スピンと強弾道を実現。また、ヘッドサイズについても440ccとやや小ぶりになっており、操作性も兼ね備えている。見た目については「やはりコンパクトに見えますね」と堀口は続ける。
「G430MAXと比べると、全然シャープですね。ヘッドのサイズ感も小ぶりで、ディープに見えます。ちょっと玄人好みのマットな仕上がりで、ソールのデザインも変わっています。可変ウェートの操作幅がG430MAXより狭いんですよ。ここもモデルごとに調節しているわけですね」
では同じくロフト10.5度のヘッド、ウェート位置はスタンダードで、シャフトは「ALTA J CB BLACK」のSフレックスと組み合わせたモデルで試打を行った結果の平均値と、インプレッションを見てみよう。
【堀口のG430LSTの試打結果】
HS44.9m/s キャリー244.3Y トータル267.7Y 打ち出し角12.1度 ボール初速64.1m/s スピン量2132.7rpm
「やはりスピン量が減って球も圧倒的に強くなっていて、打感も締まった感じが少しします。初速性能も少し上がっているでしょうか。さらっと打っても力強く飛んでくれますね。強く打ち出されるぶんやっぱり打ち出し角は若干低めですが、振っていってもスピン量が抑えめなのは、プロにとってはやさしさを感じるポイントですね」
スピンが抑えられることもあって「スピン量が多い方やヘッドスピードが速い方、それにもともと球が高い方にもオススメですね」と堀口。
「少し球が低めに出るぶん自力で上げられる力は必要なところはありますが、とはいえヘッド自体の性能や見た目はそこまで難しくありません。例えば軟らかいシャフトと組み合わせたりすると、途端にやさしくなりそうな印象ですね」
そして最後に打ったのは「G430SFT」。つかまりを高めたドローバイアス設計であり「SFT」の名を冠するモデルでは初となる可変ウェートでの弾道調整機能が搭載されている今作、まず見た目に関してはどうだろうか。
「構えた際の見た目はG430MAXとそこまで変わらないですね。少し面長で、ちょっと左に向いているかなくらいです。ただソールを見てみると、盛り上がっている部分が他モデルよりドロー方向に寄る感じで斜めになっていたりと、ドローバイアス設計であることを感じさせますね。可変ウェートは『ドロー』と『ドロープラス』の2つ。通常のポジションでもすでにつかまりやすいですが、もっとつかまるようにできるわけですね。だから今まで以上につかまりがいいし、そこに振り切ったヘッドと言えます」
ではさっそく試打を行ってもらおう。ヘッドはロフト10.5度、ウェート位置はさらにつかまるドロープラスで、シャフトは「ALTA J CB BLACK」のSフレックスと組み合わせたモデルを使用。試打のデータの平均値と、インプレッションは以下の通りだ。
【堀口のG430SFTの試打結果】
HS45m/s キャリー235Y トータル253.7Y 打ち出し角13.7度 ボール初速64.3m/s スピン量2890.3rpm
「3モデルに共通していますが、心地がいい打音ですね。そしてやはりかなりつかまります。頑張ってスライスを打とうとしても右に行かず、ストレートに打ち出されますね。球の高さもSFTのほうがMAXより少し高くなる印象です。やはり過去作同様にスライス系の球に悩んでいる方には効果てきめん。十分助けてくれるような感じがありますよ」
つかまりやすいヘッドと聞くと、どちらかといえばビギナー向けのヘッドというイメージを抱かれやすいが「だからといってヘッドスピードが遅い人向けっていうわけではなくて、全然速く振れる方でスライスに悩んでいる方にもオススメです。実際フィッティングしていても組み合わせるシャフト次第でびっくりするくらいミート率が変わったりしますよ」とのことだ。
「可変ウェートによる調整もできてスタンダードなMAXがある以上、SFTは明確に悩みがある方向けって感じですね。マックスのウェートをドローポジションにしてもまだつかまらないなという方には圧倒的にやさしいと感じるはずです。MAXかSFTかは、フィッティングでちゃんと見極めてくださいっていうところですね」
さて、3モデルをそれぞれ打ち終えたところで、改めて堀口に総括してもらおう。
「スタンダードなMAXとスピンが抑えられて球が強いSFT、そしてつかまりがいいSFT。一見すると見た目が3モデルともほぼ同じに見えますが、性能的にははっきり分かれていますね。万人にあうMAXと特定の悩みを持つゴルファーに向けた他2モデルという感じです。過去作からある寛容性や安心感は変わらず、打音がかなり良くなっているのは共通していますね」
さらに「可変ウェート、そしてシャフトの組み合わせによってかなり幅広い方に対応してるのもいいですね」と堀口。
「可変ウェートはポジションを変えるだけで、しっかり効果が感じられます。加えてピンのオリジナルシャフトの種類が豊富で、今回の試打に用いたALTA J CB BLACKに加え、しっかり叩ける『ピンツアー2.0 クローム』、さらにハードな『ピンツアー2.0 BLACK』というもうシャフトもラインナップされています。カスタムシャフトを選ばずともピンの中で複数の選択肢が用意されているのも大きいですね。ぜひいろんなシャフトの組み合わせを試してみてください」
協力/PGST