冬になると、誰でも飛距離が極端に落ちます。ただ飛距離が落ちるといっても、そのほとんどがキャリーです。乾燥する冬はフェアウェイやグリーンが固くなりやすく、落下してからのランはむしろ夏より多くなります。この兼ね合いをしっかり把握しておかないと冬場のゴルフでスコアをまとめていくのは難しいといえます。
気温が低いとカラダが回りにくくなる上、厚着することでヘッドスピードはどうしても落ちてしまいます。ということは、打ち出し角や、スピン量も少なくなり、番手ごとの適正なボールの高さが出なせなくなります。高さが出ない、ということは着地してからのランも増える、ということになるのです。
たとえば、ピンまで150ヤード。手前には深いバンカー、プラス5ヤードの打ち上げ、ピン位置はやや手前、という状況。こうしたとき、「冬は飛ばないから、2番手は上げないと」と普段7番を持つ人が5番をチョイスしたとします。このとき、『大きい番手を持つ=弾道が低くなる』ということを意識していますか? また、『高さが出ない=ランが多くなる』ということを考えていますか? 飛距離が落ちているからといって、長い番手を持ってグリーンを狙っても、ボールが低くなるうえ、ボールが止まりにくくなりますから、グリーン上にボールを止めることはかなり難しくなるといえます。
こうしたとき、私はショットにちょっとした工夫を加えます。まずボールの位置を左足寄りに移し、体重はやや右足寄り。いつもより若干ボールから離れて構え、右足体重のまま、しっかり腕を振り抜くようにします。こうすると、インパクトロフトが多くなる上、ヘッドも走りやすくなるため、打ち出し角を高くできます。弾道イメージは、ややフェード。このイメージなら、キャリーも出せて、ボールが止まる確率を高くできますし、飛び過ぎて大オーバー、という危険も少なくなります。
こんなショットがいつも上手くいくとは限りませんが、自分のできる範囲で、ボールの高さや球質をコントロールする意識を持つことで、少しずつでもショットのクオリティを向上させることにつながると思います。
もちろん、基本的な状況判断をした上での選択、というのは大前提です。まずはライの見極め。ボールが上げられるようなライなのかどうか? 左足が高くなっているライなら可能性はありますが、少しでも左足が低くなっていたり、ボールが沈んでいたら高さは出せません。
もうひとつは風の計算。向かい風ならスピン量は増えますので、長いクラブでも止まるボールが打てる可能性がありますし、フォローでは高さも出にくく、ランも多くなってしまいます。さらに持ち球の傾向も大切な要素です。フェード系ならボールは止まりやすいですが、ドロー系、(特にアマチュアに多い、飛球線より左にボールが出ていくヒッカケ系ドローヒッター)は必然的にランが多くなります。
ボールの高さと、ランの関係。これをしっかり考えた上で番手を選ぶ。次のラウンドではこんなことをテーマにしてみると、ただつらいだけ、と思っていた寒い冬のゴルフが、もっと有意義なものになるように思っています。