「どの家にもある家具ですぐにできる、とっておきのドリルがあるんです」と、おもむろに部屋の中にあるイスを運んできた原田コーチ。そのイスに右足を乗せて、足首を捻ったり上体を回したり……。このドリルはいったいなんだろう?
「バックスウィングやダウンスウィング~フォローにかけて、上半身と下半身をツイストさせるように捻る動きを身につけるドリルです。足と上体が逆方向に回ることで捻転差ができて、上体を鋭く回せるようになり、大きなパワーが引き出せるので、飛距離アップにつながるんです」(原田コーチ、以下同)
その手順や動作を見ると、イスに乗せた右の足首を内旋したら上体は右回り(バックスウィング側)、右の足首を外旋したら上体は左回り(ダウンスウィング側)になる。この動きを繰り返して、足と上体は常に「逆、逆」に連動して回すことを覚えるのだ。
「“体を回転して打つ”といっても、上半身と下半身が同じ向きで回ってしまったらパワーが生まれません。また、バックスウィングで腰が右に流れてしまう人は右サイドにカベを、ダウンスウィングで腰が左に流れてしまう人は左サイドにカベを作らないと、パワーが逃げてしまう。そういうミスを防ぐためにも有効なドリルですね」
上半身と下半身がしっかり捻れることで、切り返しでは“手元と左足の引っ張り合い”や伸張反射(引き伸ばされた筋肉が収縮する)が生じて大きなエネルギーが溜まり、ダウンスウィングのスピードが一気に上がるということ。イメージとしては、バックスウィングで一瞬“がに股”になる感覚だと言う。
「そのように上と下の時間差ができると、大きなエネルギーが生まれるだけではなく、切り返しの“間”ができてタイミングよくダウンスウィングに入れるでしょう。ダウンスウィング~フォローにかけては、上体を左に回しながら右の足首を外旋するイメージ。右ひざが前に流れません」
「下半身をロックして上半身を回す」という意識だと、足のチカラが使えなくて“手上げ・手打ち”がエスカレートしてしまう。上体を回したら、そのベクトルとは逆方向に足首を捻って“拮抗力”を生む。それが体全体を使ったダイナミックなスウィングにつながる。この“イス乗せドリル”なら、あっという間にヘッドスピードが上がって飛距離を伸ばせそうだ!