「冬の芝に強いウェッジってないの?」。そんな疑問にギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人が教えてくれた。

クラブフィッターの小倉です。今回はグリーン周りのアプローチについて。気温が下がり、芝が枯れたこの時期、アプローチショットに苦しむゴルファーは多いのではないでしょうか。気温の高い夏には密集した芝に苦しめられますが、気温が低い冬にも難しいシチュエーションがたくさん出現します。

たとえば、花道。夏では、適度に刈られた芝が打ちやすいライを作ってくれますが、冬では、芝の密度が下がり地面に倒れこんでしまうため、硬い地面とボールとの隙間がほとんどなくなり、シビアなボールコンタクトを要求される難しいシチュエーションとなります。

日本の芝はある程度密度があると、ボールを地面から浮かすように支えてくれます。そういった状況であれば、多少手前から入っても、大きなミスにはなりづらく、そこまでシビアなボールコンタクトを意識しなくても、そこそこのアプローチは可能です。しかし、冬のペタペタに倒れこんだ芝の上ではそうはいきません。少しでも手前からヘッドが入ると、ボールと地面との間に隙間がないために、ざっくりやソールが弾かれてトップといったミスになりやすいのです。

個人的にも冬の芝の薄いライからのアプローチは苦手です。先日もお客様とのラウンド中、そんな話になりました。するとお客様から「冬の芝に対応した冬用ウェッジってないの?」と投げかけられたのですが、正直返答に困りました。

ウェッジのソール形状やバウンス角は、それぞれの打ち方に適したモデルを選ぶのが重要なため、なかなか個別のシチュエーションだけに対して、効果のあるウェッジのスペックを導きだすのは難しいからです。上手く打ち方を配慮したうえで、効果的なスペックのモデルが導き出せたとしても、今度は他のシチュエーションでの使い勝手が変わってしまう可能性があります。

様々なライに対応するのがウェッジの役目ですから、一定のライに特化したウェッジは、その環境専用のエキストラクラブとしてなら問題ないのですが、普段使いのウェッジとしてはちょっとシビアなクラブになってしまうでしょう。

ちなみに冬のペタペタ芝に特化したミスに強いウェッジをあえて挙げるならチッパーです。パターのように打つチッパーは地面の環境に左右されにくく、安定してボールを上げてくれます。そんな状況でもスピンをかけたいなら、通常のウェッジでシビアなボールコンタクトを練習するのが最も効果的でしょう。

最後に私のペタペタ芝対策をお話ししますと、50度のウェッジかPWでヒールを浮かせるようにしてパターのように打っています。それが経験上、一番大けがになりづらいですね。

画像: 「冬芝のアプローチは、チッパーを使ったり、大ケガをしないような打ち方の工夫が大切ですね。私も苦手です(笑)」(小倉)

「冬芝のアプローチは、チッパーを使ったり、大ケガをしないような打ち方の工夫が大切ですね。私も苦手です(笑)」(小倉)

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