今シーズンから主戦場を米LPGAとするプロ7年目の勝みなみ。昨年末のQシリーズで5位に入り、ほぼ全試合の出場権を手にした。夢のアメリカ挑戦を前にした思いを聞いた。

昨年12月、勝みなみは米LPGAへの切符を手に入れるため、Qシリーズの舞台に立っていた。

一昨年から米女子ツアー参戦を公表。昨年の国内ツアーでは10月の日本女子オープンで史上3人目の連覇を達成し、最終戦のリコーカップはプレーオフで惜敗したものの、キャリアハイの賞金ランキング4位。満を持しての最終Qシリーズ参戦だった。

画像: 昨年米ツアーのQTに挑戦し、今季の出場資格を得て、アメリカに主戦場を移す勝みなみ

昨年米ツアーのQTに挑戦し、今季の出場資格を得て、アメリカに主戦場を移す勝みなみ

「(昨年)9月中旬くらいに申し込みをしました。迷いはなく『いいよね、ポチ』という感じでした(笑)」 

2週間にわたる8日間の苛酷な戦い。最初の2日間こそ苦しんだが、終わってみれば5位に入り、今季ほぼすべての試合の出場権を得た。試合後には、

「最高に嬉しいです。長丁場で最初の2日間はスコアを伸ばせず、このまま終わってしまうのではと心配するときもありました。

でも、キャディをしてくれた母をはじめ、ファンの皆さんのおかげで、8日間プレーすることができ、出場権まで獲得できました。強くなれる! 強くなりたい! と思えた2週間でした」

と語っていた。

帰国後、戦いを振り返ってもらうと「燃焼し切っています」と笑い、答えてくれた。

「けっこう長かったなあって感じがしました。日本の2週間って早く過ぎるんですけど、QTだったからか長く感じましたね。でも日本ツアーのQTのときのほうが緊張したかもしれません。今回は3コースラウンドしましたが、日本と似た木のあるコースばかり。

もちろん、芝が少し違いましたし、芝目のあるグリーンだったのでメリハリをしっかりつけて、下りの順目はめっちゃ速いし、上りの逆目は遅いので、その辺の感覚の部分は難しかったですね。でもラインも徐々に読めるようになっていきましたし、ストロークもよい感じでした。

それにアメリカに行ってからショットの調子もすごくよくなっていて、これだったら大丈夫かなという自信も少しはあったのでよかったです」 

話を聞きながら、勝みなみという選手は冷静でメンタルが強い、ということを思い出した。 

Qシリーズを通して、アメリカで戦えると思ったか聞くと、「思いました」ときっぱり答えて、

「飛距離はそんなに負けていなかった。ほかの選手についてはいけていたと思いますから、たぶん大丈夫じゃないかなあ、という感じです。でも、QTに出るのはQTの選手でしかない。

LPGAに出ている選手は別なので、レベルの違いはあるとは思います。全米女子オープンなどで試合をしてみた感じとは違いますから」 

お決まりの質問、昨年一年を表す漢字一文字を聞くと、「なんだろう……」とずいぶん悩み、

「やっぱりけっこう戦いに挑んだので、『戦』ですね」 

勝みなみは常に目標を立ててはクリアしてきた。15歳でアマチュア優勝して、2勝目という目標ができてからもずっと苦しかった。

それを乗り越えたのも、自分にプレッシャーをかけすぎている自分に気づいたから。自分自身と戦うのをやめて、自分を見つめられるようになったのだと思う。 

そして勝みなみの戦いは、舞台を変えて続いていくのだ。 

その舞台には、すでに躍動している仲間たちがいる。畑岡奈紗、笹生優花、古江彩佳、渋野日向子。“黄金世代”同期の渋野が連絡してきたという。

「1週目の3日目、66を出したときに。『すげっ』て。心配してくれてたみたいなんですよ。予選通ったら連絡しようと思ってたんだと思います。あとは、終わって『おめでとう、来年楽しみだね』というメッセージもありました」 

海の向こうで活躍する日本選手たちの姿は我々の楽しみでもある。 

画像: QTにともに挑戦した西村優菜(左)を含め、畑岡奈紗、笹生優花、古江彩佳、渋野日向子ら、今季の米ツアーは日本選手の活躍で大いに盛り上がりそうだ(撮影/Yasuhiro JJ Tanabe)

QTにともに挑戦した西村優菜(左)を含め、畑岡奈紗、笹生優花、古江彩佳、渋野日向子ら、今季の米ツアーは日本選手の活躍で大いに盛り上がりそうだ(撮影/Yasuhiro JJ Tanabe)

実は勝みなみ、Qシリーズ中も、いろいろなことを試しながら試合に臨んでいたのだという。

「昨年後半、自分のなかで見つけたことがあったけれど、まだこれではないというのも感じていて。優勝しそうでできない試合も多かったし、それはやっぱりショットの乱れなどが原因なんです。

緊張する場面でも、常に同じバランスで打てるスウィングを見つけたいなと思っていました。

それが、アメリカに行って『いいかも!』と思えた。8日間のうち最初の4日間は宙ぶらりんの状態だったんですけど、2週目はずっと安定したショットが打てていました」 

勝が、試してみて変えたこととは、ボールとの距離だという。

「もともと私、すごく近くで構えて打つタイプだったんですけど、少し離れて練習し始めたんですよ。高校3年くらいかな、そこからスウィングにゆるみが出始めたりして、何かちょっと違うなと。

でも何年もやっているから気づけない。だからアメリカに行って試してみようと思いました」 

アメリカには“合宿気分”で行ったと笑う。自然体で臨むため。これもひとつのメンタルコントロール術なのだろう。

「それにやっぱり試合で試してみないとわからないから。近くに構えて棒立ちのようにしたほうが、スムーズにスウィングできるし、上手く力感が出てきてくれる。『これかもなあ、1日試合でやってみよう』と。

最初はなかなか上手くいかない部分もあったんですけど、すごくいい感触も出ていたので、もう1日やってみようと。だんだんよくなってきて、これで固めようと思いました」

試合で自分のスウィングを調整し、作っていけるところに勝の強さはある。こうして勝は、進化してきた。(後編へ続く)

※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月7日号「勝みなみ アメリカへ!」より

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