1つは、ロケットの部品作りにも使われる5軸マシニングセンターという機械を用いて、日本製の高品質303ステンレスの塊から精密に削り出す「GeoGalaxy(ジオギャラクシー)」。例えばブレードタイプのヘッドでは、約6キロのインゴットから1本ずつネック一体で削り出す(完全削り出し)というから、贅を尽くした高精度のフルミルドパターといえる。
ヘッド素材以外にもヘッドミーリング、シャフト、グリップに至るまで日本製の素材を厳選し、日本国内で製造するなど、JAPANメイドへの限りないこだわりが見られるメーカーだ。
こだわりと言えば、ヘッド形状もそう。PINGの「アンサー2」やオデッセイの「#5」など伝統的な形状のみをラインナップし、レガシーへのオマージュ、リスペクトを強く感じされる。
その一方で、「マレットのヘッドにクランクネックをつける」といったネック形状のアレンジもモデルによっては可能で、オデッセイの#5にスラントネックをカスタマイズするなんて芸当もできてしまう。こういったネック形状のカスタマイズは溶接で接着するのが一般的だが、ここでは削り出した部品を組み合わせている。あまりに高精度なため、まったく見わけもつかず打感にも影響はなさそうだ。
また、ステンレス自体の色はシルバーだが、透明な塗膜(乾燥して膜状になった塗料)の厚さを変えることで、ブラックやレインボーカラーに仕上げるといった遊び心もある。
そして、もう1つが「ARGOLF(アールゴルフ)」だ。パターには珍しい航空産業に携わるフランスのメーカー。競合他社とは一線を画すためにARGOLFがとった差別化戦略は、「航空宇宙産業で使用される高度な技術を用い、素材、製法、仕上げ、どれを取っても市場に出回る他のパターの品質とデザインをはるかに超えるものを目指す」というもの。
マレットタイプのモデルは、航空機のボディの部分に使われ、軽くて強い「7175アルミ合金(超々ジュラルミン)」をパターのヘッド素材に採用。1つの金属のブロックから丁寧に削り出し、100%ミルド加工で仕上げている。
また、フェース面に付けられた「C-Clawグルーブ」と呼ばれる特殊な溝形状は、安定したボールの転がりを生む、ARGOLFが特許を持つ技術。
もう一方のオーソドックな形状のモデルは、「ジャーマンステンレススチール304L」を採用。「L」は「ローカーボン」を意味し、1個を作るのに、5軸のCNCマシーンで7時間近くかけて精密に削り出されたヘッドだ。
ワイドソールのセンターシャフトやPINGタイプなどもあり、多彩なモデルからチョイスできる。
オデッセイやテーラーメイドが全盛の女子ツアーで新興メーカーの製品が受け入れられるか、引き続き注目していこう。