琉球ゴルフ倶楽部で、ギャラリーをもっとも多く引き連れていたのは、初日から上位にくい込み3日目を3位タイからスタートしたツアールーキーで地元沖縄、うるま市出身の荒川怜郁(れいか)。
荒川怜郁は、昨年プロテストに合格し、QT4位(新人最上位)の資格で今大会に出場している女子大生プロゴルファー。中部学院大スポーツ健康科学部の3年生で、メンタルトレーニングや栄養学を学んでいる。
大ギャラリーを引き連れて迎えた荒川の(本稿を書いた)3日目は、結果的には3つスコアを落とし、13位タイに後退してしまった。しかし、169センチの長身から放たれるドライバーショットは気持ちいいくらいに豪快。
同組だった稲見萌寧は、「球の高さがあるし、強さもある。ギャラリーの方が沸いていましたね」と認めるほど。ルーキーらしい思い切りのよさが魅力だが、この日はいくぶん空回り気味だった。
「もったいないミスが多かったですね。6番は残り85ヤードから、7番は残り60ヤードからボギーにしてしまった。それに、ティーショットを曲げても冷静に対応できればよかったのですが、木の下を狙おうとしてまたミスになったり……あえて難しいショットを選択してしまいました。もう少しどうにかできたんじゃないかと、終わってから反省しました」(荒川)
冷静になれなかった理由のひとつが順位だ。
「途中でリーダーボードが見えて『あれ、このホールバーディとれば、トップじゃん! これは行くしかない!』と思って。ガッツきすぎました(苦笑)」と、順位を気にして力んでしまったという。
繊細さと豪快さ、荒川怜郁の魅力
さらに、「もちろん、周りはみんなトッププロで、初日から周りの方がどんどん攻めているのを目の当たりにしていました。だったら私も『攻めなきゃプロじゃない!』と思ってガツガツ攻めたんですけど……ぜんぜんダメでした(笑)」と、豪快に笑いながら反省していた。
この辺りは実に“プロ向き”と思うのだが、「1番ティーは手が震えて、何を考えて打ったか覚えていません」という繊細さもある。
その不思議な性格からきているのかはわからないが、荒川のプレーには、何をするかわからない怖さもあるが、同時に、何かしてくれそうなワクワク感も持たせてくれる魅力がある。
「一年に一度しかない地元での開催なので、最終日は楽しんでプレーして、沖縄のみなさんにたくさん喜んでもらえるように頑張りたいです」(荒川)
トップとは7打差で、優勝は現実的ではないかもしれないが、彼女のプレーを間近で見たら、『すべてが上手くかみ合えば、ひょっとしたら……』と期待してしまう人も多いはずだ。最終日の荒川のプレー、要チェックです! そして、沖縄出身ツアールーキー・荒川怜郁の今シーズンに注目です。
(PHOTO/Hiroyuki Okazawa)