2023年国内女子ツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」を制したのは申ジエ。通算27勝目を挙げたスウィングをみんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修が解説。

今大会の優勝で永久シードまで残り3勝に迫る申ジエ選手のゴルフは盤石の試合運びでした。3日目には、スコアを提出するまでいくつでプレーしていたかわからないほどプレーに集中していたといいます。特にアゲンストの15番パー4で木の裏からUTで低く出し、グリーンをオーバーしたもののアプローチとパットでパーで切り抜け、16番パー3でもグリーンを外しましたがアプローチを寄せてパーと優勝争いの終盤でスコアを崩さない強さを見せました。

画像: 15番パー4で、木の裏から低く出すショットをUTで放つ申ジエ(撮影/岡沢裕行)

15番パー4で、木の裏から低く出すショットをUTで放つ申ジエ(撮影/岡沢裕行)

ここ10年は毎年複数回優勝を挙げていましたが、ちょうど1年前に施した両ひじの手術の影響もあって昨シーズンは未勝利に終わっていました。キム・ハヌル、チェ・ナヨン、イ・ボミなどパルパル世代と呼ばれる88年生まれの同世代が引退や引退発表をする中で、日本ツアーの賞金女王(ポイントランク女王)と永久シード獲得に邁進しているのが申ジエ選手です。

画像: 23年開幕戦「ダイキンオーキッド」で通算27勝目をあげた申ジエ(撮影/岡沢裕行)

23年開幕戦「ダイキンオーキッド」で通算27勝目をあげた申ジエ(撮影/岡沢裕行)

そういう意味では、最終ホールまで優勝争いを繰り広げた上田桃子選手は36歳、4位に入った藤田さいき選手は37歳と若い世代に負けないベテラン勢も存在感を示しています。

長く現役を続けられるベテラン勢は、トレーニングや体のケアはもちろんですが体に負担のない効率的なスウィングをしているからでもあります。それではスウィングを見てみましょう。

まずはアドレスの立ち姿がとても自然です。骨盤を起こして腰から頭までなだらかな直線。下半身もゆるみがなく足裏で地面を踏む感覚が抜けていません(画像A左)

テークバックではヘッドを外めに手首のコックを使ってクラブを立てて上げます。左腕が地面と平行になる位置でクラブは地面と垂直になる、手元の運動量よりもヘッドの運動量が大きいことは多くの韓国選手に共通する特徴です。

画像: 画像A とても自然なアドレスの立ち姿(左)から両ひじの間隔を変えない締まりのあるテークバック(右)(撮影/中村修)

画像A とても自然なアドレスの立ち姿(左)から両ひじの間隔を変えない締まりのあるテークバック(右)(撮影/中村修)

外めに上げた腕とクラブが体の回転によってインサイドから下りてきますが、手先で外に上げるのではなく、胸の正面から外さないように、両ひじの間隔を変えない締まりのあるテークバックになっています。(画像A右)

トップでもひじの間隔を変えないようにわきが締まっています。そのことでいつも同じトップの位置に上がる再現性の高さにつながっています。そしてスウィング中に、お尻のラインと前傾角をキープしながらトップからダウンスウィングへと下りて来ていることで、目線とボールの距離が変わらないずに芯に当たる確率が高いスウィングだといえます。

画像: 画像B トップで伸ばした腹筋や体幹部の筋肉を収縮させ、お腹がへこむような動きになるダウンスウィング(撮影/中村修)

画像B トップで伸ばした腹筋や体幹部の筋肉を収縮させ、お腹がへこむような動きになるダウンスウィング(撮影/中村修)

具体的には、伸ばした筋肉が縮むときに力を発揮する伸張反射を使うために、トップで伸ばした腹筋や体幹部の筋肉を収縮させることで、お腹をへこませるような動きが見て取れます。

手元の運動量よりもヘッドの運動量を大きくする、つまり手元を支点にして振り子のようにヘッドを効率的に加速させる使い方。その動きのなかでフェースの開閉も行われています。

画像: 画像C ヘッドを効率的に加速させながら、フェースの開閉もしっかり行われる(撮影/中村修)

画像C ヘッドを効率的に加速させながら、フェースの開閉もしっかり行われる(撮影/中村修)

開幕戦の優勝で目標とする永久シードとポイントランク女王争いから無視できない存在になったことをアピールしました。今週は誰が活躍するか引き続き注目していきましょう。

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