4打差を追って最終日をスタートした上田は前半で3バーディを重ねて、一時は首位に立つ展開。しかし、後半はスコアを伸ばせず、首位に1打差で迎えた最終18番パー5で痛恨のボギー。
バーディで締めくくった申ジエとは3打差の2位タイに終わった。ラウンド後は
「17番のチャンスでバーディを取れていたら、18番のティーショットもフェアウェイに行っていたかもしれない」
最終ホールとともに2.5メートルを決めきれなかった直前のプレーを悔やんだ。
昨年は初戦に米女子ツアー「HSBC女子世界選手権」を選び、ホールインワンを達成するなど13位タイ。それに続き、今季も順調なシーズンの滑り出しとなった。
長年ツアーに出続けていても「毎日、スタートのティーショットは緊張する」と口にする選手は意外に多い。シーズンの開幕となれば、緊張感はさらに増すはず。
オフの過ごし方も含めて、開幕できっちりと結果を残すところはベテランの強みといっていい。
今回は結果につながらなかったが、合宿では競り合いを意識してきたというだけに今季は勝負強さにも期待したい。
昨季、久々の優勝を果たした藤田さいきは4位タイ。オフの練習量が例年に比べ少なく、不安も抱えていたが
「経験でカバーできました」
取り組んでいたスウィングの変更点を大会期間中に見直し、昨年の形に戻して最終日の「67」につなげた。
本人の言葉通り、こうした判断の速さは経験のなせる技だろう。
他にもオフにスウィング改造に取り組み、球筋が強いフェードからストレートに近づいた渡邉彩香らが続き、20歳前後の選手が上位を占めた昨年とはリーダーズボードの顔ぶれが替わった。
若い選手たちが乗り越えるべき壁は例年以上に高そうな雰囲気だ。
一方の若手では上野菜々子、阿部未悠が優勝も狙える位置で最終日をスタートしたものの、最終日に失速し、ともに14位タイでのフィニッシュ。こちらは開幕戦&優勝争いのプレッシャーに苦しむ形となった。それでも、彼女たちが今季の初優勝候補として名乗りを上げたのは確かだろう。
国内スポーツの話題は大谷翔平らの侍ジャパンが独占中で、女子ゴルフはどことなく静かな開幕を迎えた印象もある。
しかし、好調なベテランと今年も出てくるであろう新興勢力が激戦を繰り広げる面白いシーズンになることを予感させるには十分な初戦だった。