説明するまでもなくスコッティ・キャメロンのパターといえば、ツアープロだけでなく多くのゴルファーに人気のプレミアムなモデル。その素材やフォルム、打感といったパターに求める性能を持ち合わせているだけでなく、独特な所有欲までも満たしてくれる数少ないブランドでもある。
スコッティ・キャメロンの2023年新作「SUPER SELECT」は見た目、打感、転がりに”やさしさ”をまとったモデルに進化した
そのスコッティ・キャメロンの2023年モデルは、ツアーのトッププレーヤーたちからのフィードバックをもとに研究され、進化したニューポートやニューポート2といった伝統的なブレードタイプに加えて、フランジ部をやや幅広くした「ニューポート＋」、「ニューポート2＋」も登場。3月中に発売されるブレードタイプの6モデルをみんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修がコースで試打してみた。
「フランジ部を幅広くしたモデルは、各メーカーこぞって投入する人気のモデルです。その特徴は、慣性モーメントが増大することでブレードタイプなのにやさしくて、芯を外したときの直進性や転がりを助けてくれる点にあります」（中村修、以下同）
素材はステンレス303の削り出しでノンインサート。ソールにはブレードタイプにはタングステンのウェートを、幅広モデルにはアルミプレートとステンレスのウェートが装着され重心位置をモデルごとに最適化しスウィートエリアを拡大したという。（画像A）
画像A 「ニューポート2」（上）とフランジ部が幅広い「ニューポート2＋」ではソールのプレート、装着されるウェートに違いがみられる
手に取ってみると、バックフェースのドットやネックは重量配分のためにミーリングによって削り取られていることが見て取れる。量産モデルでありながら精密さや仕上げの良さといった、見た目のカッコよさに魅せられる。
画像B ネックやバックフェースのドットも精密に削り出され、計算された重量配分を実現する
打感を大きく左右するフェースのミーリングは「デュアルミルド」と呼ばれる深いミーリングが施されていて、ボールとの接地面が少なくなることで柔らかい打感と安定したボールの転がりを組み合わせたツアープロトから引き継がれた技術だという。（画像B・C）
「柔らかい打感という感触だけでなく、芯を外しても安定した打感が印象的でした。それだけ芯が広いということだし、これまでのブレードタイプの中で最もやさしいキャメロンだと感じます」
画像C 「デュアルミルド」と呼ばれる深いミーリングは打感の柔らかさと、転がりを両立
「ニューポート」と新しくラインナップされた「ニューポート＋」を比べてみると、フランジ部がわずかに幅広くなっている点に気づく。座りの良さ、ターゲットに対する構えやすさを感じながら素振りをしてみると、マレットのような安定感のあるストロークができる点が大きく進化したポイントだ。（画像D）
画像D 左が「ニューポート」で右が新しくラインナップされたフランジ部の幅を広くした「ニューポート＋」
直線基調の「ニューポート2」と「ニューポート2＋」でも、「シャープさは残しながらもラインに対してスクェアに構えやすい」と中村はいう。
「どちらもシャフト1本分のオフセットがあることで、右目の下にボールを置いてハンドファーストになり過ぎるのを防ぎ、3.5度という設計されたロフト角通りに構えられる。そのことによって適度なつかまりとボールを押し込むインパクトで、打ち出していくべきラインにしっかりと打ち出せます」
ボール位置と重ならないネック形状も構えやすさに一役買っていると中村。（画像E）
画像E シャフト1本分オフセットで直線基調の「ニューポート2」（左）と「ニューポート2＋」（右）
慣性モーメントが大きくさらに安定したストロークが期待できる「スクェアバック2」、L字のような振り感が得られるショートスラントネックの「ニューポート2.5」も少し幅の広いフランジ部を採用することで、シビアになりすぎない安心感を与えてくれる。（画像F）
画像F シリーズ中最もフランジ部の幅が広い「スクェアバック2」（左）とショートスラントネックの「ニューポート2.5＋」（右）
グリップはピストルタイプの新しい「ピストリーニ・プラス」と「ピストレロ・プラス」グリップがモデルによって装着されている。「左手部分が縦に細長い「ピストレロ・プラス」はヘッドの重さをより感じられるし、過度なローテーションをおさえてくれます」と中村。
画像G 「ピストレロ・プラス」（上）と「ピストリーニ・プラス」（下）
ひと通り「SUPER SELECT」シリーズを紹介してきたが、「ツアーで使用されているものとは”別物”でしょ！」と言うなかれ。ツアーからのフィードバックをベースに開発・デザインされた「SUPER SELECT」は機能や性能、そして見た目も十分に所有欲を満たしてくれるモデルに仕上がっていることがわかった。最後に一つ、「ラウンド中もヘッドカバーを装着し、傷がつかないようにしてほしい」というキャメロンマニアの中村の願いで締めておこう。
