2011年のマスターズでローリー・マキロイがサンデーバック9で大崩れしメジャータイトルを逃したシーンを覚えている人は少なくなった。初日から首位を走り4打リードで迎えた最終日。10番でトリプルボギーを叩きトップの座を明け渡すと大崩れし15位タイに甘んじたあの日。あれ以来彼の胸に小さな棘が刺さったままだ。

世界ランク上位64人が出場するデルマッチプレー選手権はグループリーグの2日目を終えマキロイは2連勝と復調の兆し。プレーヤーズ選手権で予選落ちの雪辱を果たすべくマッチに挑んでいる。

しかし目の前のショットに集中しようとしても彼の頭から離れないことがある。それはキャリアグランドスラムがかかる間近に迫ったマスターズ。「この時期は特にマスターズのことが頭にないといったら嘘になる。常に意識している」とマキロイ。

画像: キャリアグランドスラム達成まで、あとはマスターズ制覇を残すのみのローリー・マキロイ(写真は2023年のジェネシスオープン 撮影/Blue Sky Photos)

キャリアグランドスラム達成まで、あとはマスターズ制覇を残すのみのローリー・マキロイ(写真は2023年のジェネシスオープン 撮影/Blue Sky Photos)

オーガスタには忘れられないサンデーバック9の悪夢の思い出がある。当時21歳だった彼の予選ラウンドのペアリングはジェイソン・デイとリッキー・ファウラー。「将来のゴルフ界を背負って立つヤングガン」といわれた話題になった。

そして期待通りマキロイは初日7アンダー65をマークしトップに立つと3日目までリーダーボードの先頭を走った。だが最終日の前半、ヤング・マキロイは緊張を隠せなかった。それでもトップの座は譲らずグリーンジャケットは目前だった。

しかし10番で悪夢が訪れる。ティショットを大きく左に曲げ、打球は林を超え隣接するキャビンに届くほど乱れた。一気に冷静さを欠いた彼はアプローチを木に直撃させてグリーンを外しようやくトリプルボギーの『7』でホールアウト。茫然自失。目は虚ろ。それまでの勢いは消え、どこか異空間にスポッとハマってしまったような感じだった。

完全に緊張の糸が切れた彼は11番以降坂を転がり落ちるようにスコアを落とし結局15位タイ。上がり4連続バーディを奪ったチャール・シュワーツェルが栄冠に輝いた。

そのときのトラウマはもうないのだろうか? 昨年のマスターズで最終日の猛チャージで2位に入った場面を見れば12年前の悪夢は吹っ切れたように思われる。今年こそあのとき掴み損ね得たタイトルに手は届くのか?

朗報への前兆はある。先週マキロイは父を伴い同郷のシェーン・ラウリー親子とオーガスタナショナルを訪れ視察ラウンドをおこなった。米メディアが伝えたところによるとマキロイは18ホール、19パットの素晴らしいプレーを見せたという。

「2日間で54ホールプレーしてとてもいい感じだった。自分のゲームに満足したよ。プレーヤーズ選手権で苦戦した後だったから本調子に戻れて良かった」と本人。

マスターズ対策としてパターも2011年の全米オープンで優勝したときのスコッティ・キャメロン・ニューポートと同じモデルに替えた。グランドスラム獲りへ準備は整った。その前にマッチプレーでも好結果を期待したい。

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