飛距離の出る3Wを試打してみた
ドライバーで320ヤードが当たり前になったPGAツアーでは、3Wで280~300ヤードを打てる3Wが求められているという。みんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーが、PGAツアーで人気の4メーカーの最新モデルの中で飛距離性能の高いモデルを試打した。
飛距離を売りにする4モデルを試打した中村は「4モデルに共通するのは初速性能の高さと低重心で浅重心」。その結果、余計なスピン量を減らして高さを出すことでキャリーを稼ぐことができるという。ドライバーのヘッドスピード46m/s程度でカメラ式の弾道計測器GC4、ボールはタイトリストプロV1xを使って試打したデータを見ながら解説してもらおう。打感、球の上がりやすさ、飛距離を★5点満点で評価。
キャロウェイ「パラダイム♦♦♦」はフェードバイアス
まずはキャロウェイ「パラダイム♦♦♦」から。カーボンクラウンにステンレスのソール、そしてタングステンのウェートをフェース寄りに設置。フェースはマレージング鋼のフェースカップで反発力とスイートエリアの広さを高めている。
「小ぶりなヘッドでどちらかというとつかまり過ぎないフェードバイアスのモデルです。そこはネックの調整機能を使ってロフトやライ角を別々に調整できるので、好みの弾道に合わせることができます。ある程度スピン量が確保されていて、すっぽ抜けることなくコントロール性も高いモデルです」(中村修、以下同)
打感 ★★★★
球の上がりやすさ★★★★
飛距離 ★★★★
コントロール性 ★★★★
データを見てみると、打ち出し角13.8度と高く3261rpmとスピン量も適度に入っている。高弾道のドライバーショットのような弾道が地面に置いたボールから得られるのが大きな特徴になっている。
テーラーメイド「ステルス2+」はウェート調整で大幅に変化する
続いてテーラーメイド「ステルス2+」。チタンフェースとボディにカーボンクラウンという構造。なによりの特徴はソールに設置された50グラムのスライドするウェート。スピン量や弾道の高さや強さに大きく影響するというモデルだ。
「ややシャローに見えて球を上げやすい印象です。そして、ソールの可変ウェートの効果は絶大です。後方に下げれば球が上がりスピン量も増え、前なら強弾道に。簡単にこれほど自分の好みの弾道に合わせられる機能は他にはないですね。ロフトだけでなくライ角も変更できるのでつかまりが不足したらネック調整機能で解決できるでしょう」
打感 ★★★★★
球の上がりやすさ★★★★
飛距離 ★★★★★
コントロール性 ★★★★
ウェート位置はノーマルポジションでのデータから見ても打ち出し角13.4度と高いが、後方に下げると14度を越えるデータも見られた。3Wをどんな場面で使用するかを想定してヘッドの持つ性格を調整できるのは大きなメリットだ。
ピンG430LSTは見た目通りにやさしい
クラブ契約するツアープロからの要望が強かった飛距離の出る3Wがいよいよ登場。チタンフェースとボディにカーボンクラウン、80グラムのタングステンウェートをソールに装着して徹底した低重心にこだわったモデルだ。
「4モデルの中では最もシャローでリーディングエッジが少し出ていることで球を拾いやすく上げやすい形状。実際に打ってみても簡単に球が上がります。ピンお得意の慣性モーメントの高さがミスヒットにも強くオートマチックに打てます。打ち込むよりも払うように打ちたいモデルです」
打感 ★★★
球の上がりやすさ★★★★★
飛距離 ★★★★
コントロール性 ★★★★
データを見ると打ち出し角の高さだけでなく、ある程度スピン量は確保されているもののサイドスピンの少なさから方向性の良さが見て取れる。ただ円安の影響もあるだろうが税込93,500円は少々お高いかも。
コブラ「エアロジェットLS」は、つかまり具合も変えられる
徹底したエアロダイナミクスと初速性能の高さで話題のコブラのドライバー。その3Wは内部のフェース寄りに設置された吊り下げ式のウェートを持ち低重心を実現。ソールのトウ・ヒールのウェートを入れ替えることでつかまりも可変できるモデル。
「小ぶりでシャープな印象。4モデルの中では球が上がりにくく感じましたので、ネック調整機能で+1度や+1ドローに調整すると気持ちいい弾道で飛ばせました。ある程度ヘッドスピードが必要なモデルですが、言い換えればヘッドスピードが速いゴルファーにとっては大きな武器になるはずです」
打感 ★★★★
飛距離 ★★★★
球の上がりやすさ★★★
コントロール性 ★★★★
低重心ではあるがピン「G430LST」ほどではないからフェース面の縦方向のズレにも強いと中村。空力を考えたデザインは芝の上でも抜けが良くライの影響も少ないようだ。
試打してみて4メーカーの飛距離の出る3Wは、低重心にして球の高さと低スピンを確保し浅重心でコントロール性を持たせるというコンセプトだということが明らかになった。
蝉川泰果は「ステルス2+」ではなくあえて「ステルス2」のスタンダードモデルと投入しているが、それは飛びすぎるよりも縦の距離を合わせたいからだという。
3Wに何を求めるかによって選び方も変わってくる。ある程度スピン量を確保して球を上げやすい同ブランドの他機種も存在するので、実際にコースで使用する場面を想定して選ぶことが大切だ。
2023年4月12日21時10分、本文一部加筆修正しました