クラブフィッターの小倉です。今回は、アイアンのロフト角についてお話ししたいと思います。昨今のアイアンは、どんどんロフト角のストロング化が進んでおり、クラシカルな設定のアイアンと比べて1番手から2番手ぶん、ロフト角が立った設定のモデルが多くなりました。
おそらくですが、現在発売されている7番アイアンのロフト設定は、平均で30度を下回るのではないでしょうか。個人的に把握している最もロフト角の立ったアイアンは、7番で25度設定。クラシカルなアイアンの5番のロフト角とほぼ同じです。
ロフト角のストロング化は、より短い番手で長い距離を狙いたい!というアマチュアゴルファーのニーズに合わせた変化です。ロフト角を立たせると、インパクト時のエネルギー効率が高まり、スピンが減って高い初速を得やすくなります。ですが、それだけではボールの高さが出ないため、重心を深く低く設定することで、ロフト角以上の高さを確保し、高い飛距離性能を実現させています。
こういった設計のアイアンは、とにかくミスに強いモデルがほしいと考えるゴルファーには、とてもやさしいと感じるでしょう。ロフトのストロング化と低重心化によって余計なスピンが入りづらいため、曲がりが少なくなるからです。
さらに重心が深く設計されていることにより打点のミスに強いモデルになりやすく、打点が安定しないゴルファーや直進性の高い弾道を好むゴルファーにはピッタリでしょう。しかし、やさしいアイアンがほしいと考えるゴルファーにも、こういったロフト角の立ったアイアンが合わないケースがあります。
それはもともとスピン量の少ないゴルファー。ただでさえスピンが少ないのに、スピンの少ないクラブを使ってしまうと、たとえボールに高さが出たとしても、グリーンで止めることができず、スコアの作りづらいクラブとなってしまいます。
またディスタンス系のボールともあまり相性が良くありません。理由は同じで、スピンが入りづらくなるため、かなりの高さを確保しないとグリーンでボールを止めることが難しくなります。
ロフトの立ったいわゆる飛び系アイアンを検討している方は、7番で30度ぐらいのモデルを一度試打してみて、スピン量がどのくらいかをチェックしたほうが良いでしょう。目安として、5000rpmを下回るようでしたら、もう少しロフトの多いモデルを選ぶか、スピンが入りやすい少しアスリート向けのモデルなどを選んだほうが結果的に良い結果を得られやすくなるでしょう。
アイアンだって飛んだほうが楽しい!と考えるなら、ミスにも強い飛び系アイアンは、どのモデルも最高のパートナーになってくれるでしょう。ですが、スコアメイクを考えるなら、飛び系でもそれぞれのパワーや個性に合わせたモデルを選ぶ必要は出てきます。
さらに言えば、アイアンの距離を追求せずともショートウッドやユーティリティを駆使するといった選択肢もあります。せっかく幅広い選択肢があるのです。ぜひ皆さんには、自分が求める性能のクラブを使ってもらえたらなと思います。