私の両親も宮崎県出身のため宮崎にはとても親しみを感じていますし、山内選手を応援する宮崎弁の温かさも感じていました。地元開催というのは気負い過ぎる面もあってなかなか難しいのですが、声援を力に変えて最後までドライバーを振り抜いた姿が印象的でした。
「ティーショットが曲がっていたので、振り抜けばなんとかなるっていう気持ちでやってて、緊張して動かなくなるというのが一番自分の中では嫌だったので、とにかく振ればなんとかなると思ってしっかり振りました」と優勝会見で話した通り、緊張感の中でビビる心と闘い、見事に初優勝を手にしました。では、そのスウィングを見てみましょう。
背中のラインがきれいな立ち姿の美しいアドレスから、手元が体の正面から外れないテークバック、つまり手打ちにならないように始動できています。
今季好調な渡邉彩香、吉本ひかる、河本結選手らがオフに取り組んだスウィング改善で口をそろえる、手打ちから脱却し体で打つには、トレーニングももちろん大切ですが、体幹部とクラブがバランスよく連動して動くことが重要です。(画像A)
コンパクトなトップですが、体幹とクラブが連動しているので体の捻転は十分。そこから前傾姿勢をキープしたまま回転の割合を多く使うように、骨盤が素早くターンしていきます。下半身のリードに引っ張られるようにわき腹、左腕からクラブが引っ張られインパクトへと向かっていきます。(画像B)
インパクトでは、おへそがターゲットに向くほどの下半身の回転力でスウィングしていることが見て取れます。「振り抜けばなんとかなる」とビビる気持ちを上回る勇気を持って振り抜き、フィニッシュがバッチリと決まっています。フィニッシュに向けてしっかり振り抜く意識は、プロでもアマチュアゴルファーでもバランスのいいスウィングをするのに大切なコツになります。山内選手の「振り抜けばなんとかなる」は、早速次のランドから真似してみようと思います。
優勝の原動力になったのは用具契約をするテーラーメイドの新ドライバー「ステルス2」だけでなく、3日間の平均パット数は28パット(3位タイ)とグリーン上でスコアを稼ぎました。アプローチとパットでスコアメイクするプレースタイルで大いに自信をつけたことでしょう。
これまでの4戦の勝利パターを見てみると、開幕戦のシン・ジエはテーラーメイド「トラス」、2戦目の吉本ひかるはオデッセイ「Oワークス」、3戦目の青木瀬令奈はオデッセイ「ホワイトホットOG」、そして今大会では「スパイダーGTX」とテーラーメイドとオデッセイの2勝ずつになっています。大人気となった「トラス」に続いて「スパイダー」の人気も上がってきそうですね。
QTランク181位からの下剋上を果たした山内選手が今シーズンどこまで躍進するか、引き続き注目していきましょう。
米女子ツアーでは、古江彩佳選手が1打差の3位、渋野日向子選手は7位タイと上位フィニッシュ、今週は国内男子ツアーの開幕と国内外のツアーから目が離せない週末が続きそうです。
写真/有原裕晶