ひと工夫でスライスの曲がり幅は抑えられる!?　"個性"を生かすスウィングの考え方【内藤雄士のレッスン・後編】

弱点を消した大西魁斗は、昨季のツアーで急成長を遂げた。それならアマチュアも弱点をなくせば、上達できるのではないか？

「プロもアマチュアも弱点が克服できれば、間違いなくスコアアップします。問題はそのプロセスです。アマチュアはスウィングに悩みます。シャフトクロスを直したい、オーバースウィングを抑えたい、などです。ですが、プロは球筋に悩みます。もっと弾道を高くしたい、フェードの曲がり幅を抑えたい、といった感じです。これは結果（スコア）を求めている証しです。

一方、アマチュアはスウィングを改造したがります。ですが、スウィングを変えても球筋は大きく変わりません。どうしてその球が出たのか？　どうすればイメージ通りの球が打てるのか？　そこから考えるべきなんです」　

内藤プロは、ゴルフの目的は球を作ること。球筋から考えることが大事だと語る。では、アマチュアはスウィングを変えず、どうやって弱点をなくせばいいのか？

アマチュアの8割はスライサー（飛ばないスライス派とプッシュスライス派）

「アマチュアの8割はスライサーです。どんなミスが多いのか？　どんな球筋が嫌なのか？　そこから考えるといいでしょう。スライスは大きく2つに分けられます。ペラペラな風に弱い、飛ばないスライスと、飛距離はそこそこ出るけど、右に曲がるプッシュスライスです。これらはアドレスのひと工夫や、わきの締め具合でかなり改善できます。

そうすれば今よりボールのつかまりはよくなるはずです。スライスはするけど、曲がり幅が少なくなれば、飛距離は伸びますし、スコアメイクもしやすくなります。スライスをドローに変えるのではなく、今のスライスの精度を改善するというイメージに近いです。いつでも安定したスライスが打てれば、大きなミスにはなりにくいですから」　

スウィングはあくまで手段でしかない。

どんなスライスなのか？　それをどう直したいのか？　

今のスウィングを生かしつつ、弱点をなくしていけば、ゴルフはもっと楽しくなるはずだ。

では飛ばないスライスとプッシュスライス、曲がりの幅の抑え方は以下のとおり。

飛ばないスライスを克服

飛ばないスライスは、アウトサイドイン軌道（カット軌道）のスライス。こすり球に近いので風に弱い、ペラペラなスライスになる。これを嫌がると低く打ち出した引っかけにもなる。

飛ばないスライスの曲がり幅を抑えるドリルを紹介しよう。

・フェースの向きを11時にセット

カット軌道は右肩が前に出たアドレスになる。それを抑えるには胸の前でフェースを少しかぶせ、ボール位置でスクエアにセット。すると右肩が前に出ないアドレスになる。

・右わきにヘッドカバーを挟む
カット軌道は右わきが開きやすい。右わきにヘッドカバーを挟み、ずっと落とさずに素振りをすると軌道のズレ幅が抑えられる。これで球を打つのも有効だ。

プッシュスライスを克服するドリル

プッシュスライスはインサイドアウト軌道のスライス。クラブはインサイドから下りるのでつかまりはよく、飛距離は出るが右に曲がる。これを嫌がると急に曲がるドロップフックになる。

プッシュスライスを克服するドリルはこれだ。

・左わきを締めながら、フェースをスクエアにセット

インサイドアウト軌道の場合、左わきの開きがポイントになる。胸の前でフェースをスクエアにセットし、左わきを締めながらヘッドを下ろすと出球が真っすぐに近くなる。

・左わきにヘッドカバーを挟む

インサイドアウト軌道は手元も先行しやすい。左わきにヘッドカバーを挟むことでわきの開きが抑えられ、体とクラブが同調しやすくなる。さらに打ち出しも安定する。

スライサーだからといって、スウィングは無理に変える必要はない。構え方や、わきの締め具合などのひと工夫を試してみよう。

TEXT／Kenji Oba　PHOTO／Hiroaki Arihara　THANKS／ハイランドセンター

※週刊ゴルフダイジェスト2023年4月4日号「スウィングは無理に変える必要はない。」より