国内女子ツアーの今季第5戦「ヤマハレディース葛城」最終日、通算7アンダー5位から出た穴井と通算9アンダー2位からスタートしたささきが通算9アンダーでトップに並び、18番パー5を使ったプレーオフの2ホール目で、穴井がバーディを奪って優勝を決めた。
カップの左奥1メートルのウイニングパットを沈め、穴井は右の拳を2度力強く振った。難コースの葛城で待ちに待った4勝目を手にし
「夢みたい。本当にうれしい。我慢していればチャンスが来ると思っていた」
と誇らしげな笑みを浮かべた。
通算7アンダー5位からスタートし、硬くて速いグリーンと風で難度が上がる中、4バーディ、2ボギーの70をマークした。
15番パー5で第3打をピン手前2メートルに乗せてバーディを奪い、トップの背中を捕らえると、最終18番で3打目のアプローチを50センチに寄せてバーディ。通算9アンダーまでスコアを伸ばし、2組後ろのささきが通算9アンダーで上がった時点でプレーオフが決まった。
前回の優勝から3年8カ月ぶりの勝利を引き寄せた原動力は「もっとうまくなりたい」というゴルフへの情熱だった。
昨年ドライビングディスタンス1位の飛ばし屋だが、今季は飛距離よりもコントロール重視に方向転換。今週は56回のティーショット中50回でフェアウエイを捕らえ、スタッツ(フェアウェイキープ率約90%)は全体4位。この進化が優勝につながった。
技術面では、スウィングの力感のコントロールとアドレス姿勢の改善に取り組んだ。
「以前は必要ないときにも思い切り振っていたけど、それを抑えるようにしました。アドレスでは背筋を伸ばすように心掛けた結果、テークバックがスムーズに上がるようになったんです」
と解説した。
中学2年の時、日本語教師の父の仕事で渡米。米国高校のゴルフ部に入ってゴルフを始め、07年に帰国し、08年プロテストに一発合格した穴井。
16年ゴルフ5レディースで悲願の初優勝を果たした。以後19年までに3勝をマーク。
武器は女子プロ№1の飛距離で、昨年のドライビングディスタンスは256.49ヤードで1位を誇る。
今季もここまで256.50ヤードで2位にランクされている。
今季第5戦で早々と優勝を果たしたことで次なる目標も見えてきた。
「複数回優勝したことがないので、あと1勝したいし、メジャーも勝ちたいです。賞金1億円も達成したい。欲望しかないです」
今年11月11日で36歳になる実力派のベテランが若手の台頭に待ったをかける。